「ダンドリのビスは、良く締まって折れない。」
と言われる方が見える。
決して否定はしないが、この言葉を別の方が聞くと違って意味に捉えてしまう。
ダンドリのビスに限らず景品付きのビスは金物店に売られているビスと
同じものを売ると景品が付けられない。
だから、簡単には替えない形状にし、さらに梱包を変えて割高感を紛らわしている。
「良く締まる(薬師丸ではない)」と言われると
「そんなに締まるのか?」と思われるが、
意味が違い、ビスの先端に木の繊維を殺す細工がしてあるので
木の繊維がビスを挟みつける効力が薄れ入りやすい。
また首部分にローレットと呼ばれるギザギザがあるので空転部分の抵抗が少ない。
さらに皿裏のギザギザ(通称”フレキ”と呼ばれるがフレキシブルボード用の略である)
があるために皿の沈みが良い。
ここまで説明すると良いことばかりのように見えるが欠点もたくさんある。
欠点1.木口にネジ部を利かすと保持力が弱いため空転して使えない。
これは先端の加工が仇になっている。この場合はコーススレッドの方が利く。
欠点2.軟らかいものを皿部分で止めようとすると対象物が寄らずにビスだけが沈む。
これは皿裏のギザギザがなければOKなので、これもコーススレッドの方が有効。
これはほんの一例であるが、昨日も15mmボード二重張りの現場で40mmのロールネジを使ったが効きが悪いとのことで手締めの50mmのビスを購入されたが
噂では15mmのボードは12.5mmボードよりも硬くラッパ頭が沈みにくいとも聞く。
皿が沈みにくければネジの掛かりが浅いのでネジ部が飛んで利いたことにならない。
午後から内装ビスばかり使う大工さんから内装ビス一式の注文を頂いた。
ただ、38mmと45mmも1ケース欲しいとのことであるが
滅多に売れないので、1ケースも置いていない。
ただ内装ビスはネジ先端の目的がダンドリビスに近いので木口や薄物に対して
ネジが空転しやすい。
それを説明するとコーススレッドに変更して頂いた。
未だに厄介なのは”タッピングビス”。
タッピングビスは先端がドリルになっているビスのことではない。
鉄骨に利くビスと言う意味でもない。
正しくは雌ネジを作る機能のあるビスのことである。
下穴を開けないと鉄部に入らないビスは先端がとがっているとAタッピングビス
尖っていないとBタッピングビス。他にCもあります。
電動工具の組み立てでメネジの切っていないアルミ合金部分に
ネジを切って止まる普通のM4x0.7のビスもタッピングビス。
だから「タッピングビスをくれ!」と言われると
お客様の呼び方を否定できませんので、使い道から伺います。
それは鬱陶しがられますが、ご理解をお願いします。