大工道具の問屋の営業はどこも大抵、月に1回やってくる。
FAXのなかったころは営業が来たときに1ヶ月分の仕入れをしたものだが、今は少量多品種の時代。
品切れ、品薄の時点で発注を掛けるため営業が来ても、よほど売れると思ったものを持ってこない限り仕入れるような商品はない。
昨日ある問屋の営業マンがやってきて、ありきたりに
「何か良い話はないですか?」
営業マンにとっていい話というのは、言い返せばユーザーや販売店は関係なく自分だけ都合のいい話が欲しいということである。
こんなわがままな話にこう答えました。
「種は蒔いたか。水はやったか。」
理解できなかったらしく返答は、
「その過程を楽しむのですか?」
私は分かるように言いました。
「お客様のために日頃種を蒔いて、水をやってればその貸しで注文がくるよ。」
と言ったら、
「種も水もやってません。」
それが注文の頂けない理由です。
私はお客様のところへ伺うときは、いつもどうやったらお客様の役に立てるかだけを考えて努めるようにしています。(そのため、儲かる話を良く忘れます。)
逆に、自分が伺ったらお客様の邪魔になると思った時は、絶対伺いません。