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手間請け大工さんの現状その1

先日、番頭が
「○○大工さん『金がねえ。』って言う。」
「『年収が1000万ぐらいあるはずなのに手元に金がねえ。』って言ってた。」
ここで間違えてはいけないのですが、
大工さんと言う職業は技術に掛けてはすばらしいのですが、
帳簿のことは苦手な方が非常に多い。


本来、"年収"と言うのは、
一年間の売り上げー(仕入れ+経費)です。
前述の大工さんは俗に呼ばれる「手間請け大工さん」です。
手間請け大工さんは、一軒の大工工事手間のみを請ける業務です。
(木材・新建材などの材料は元請支給となります。)
場合によっては金物の一部が大工さん持ちになることもあります。


ということは手間請け大工さんの年収は
一年間の請負総額ー(金物代+経費)※税務上金物代は仕入れ扱いです。
ということになります。
前述の大工さんがお金が無いのは
年収=一年間の請負総額
だと思っているからです。


これは大工さんだけじゃありません。
仕事を依頼する監督さんも、一般のサラーリーマンも
税務関係に詳しい人以外は、こういった勘違いをされる方が
結構おられます。


仮に30坪の新築物件を大工手間100万円で大工さんにお願いしたとします。
大工さんが、この物件を予定工期の1ヶ月で、終わったとします。
そうすると一見、一月で100万円儲かったような錯覚を起こします。
お願いした監督さんは、そう思っているかもしれません。
このブログを見ているあなたも、そう思うかもしれません。


でも実際は
請負金額1000000円
建前人工-176000円(22000円x8人のお手伝い手間代)
金物代  -60000円
道具損料-100000円
仕事車代 -50000円
おやつ代 -30000円(10時3時の飲み物お菓子代)
応援人工-220000円(建前準備や工期追い込みのお手伝い手間代)
諸経費  -50000円(上記以外の経費)

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差し引き+314000円


これは、打ち合わせなしのクレーム処理なしの話

打ち合わせで正味2日分とクレーム処理が1日分手間が掛かるのは、
日常茶飯事。もちろんタダです。
ということは一人工を22000円とすると
正味月収254000円
さらに、サラリーマンと違い社会保険も厚生年金もありません。
納税は仕事を休んで自己申告。
怪我は自分持ちで生活保障はありません。
あまり大きな声で言えませんが、
現場で怪我をしようものなら
「救急車を呼ぶな!」
「労災使うな!」
元請は事故を起こすと後が大変なので、小さな事故はもみ消し。
(すべての建築会社がこうしている訳ではありません。)
手間受けなので、脱税も出来ませんし、
サラリーマンの特権である給与所得控除もありません。
さらにさらに、個人事業税までとられる始末。


長くなりましたので、続きは後日。