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ドブ付けメッキ

先日も名古屋のあるメッキ工場にお客様のオーダーでドブ付けメッキの依頼に行ってきました。
このメッキは従来のボルトに使用してあるユニクロメッキやクロメートメッキなどの電気メッキと違い、溶けた亜鉛の中に酸洗いした鉄製品を亜鉛の溶ける温度(融点)まで温めて、鉄と亜鉛が固着したメッキをいいます。
皆さんご存知なクサビ式伸和単管足場もここで行っています。
電気めっきよりもメッキ層が10倍以上厚いため、少々土が付いても鉄の層が出るところまで至らないため、直接ジャッキベースを土の上においても簡単に錆びません。
ただ。、ボルトに使用した場合少し厄介なんです。
メッキ層が厚いためネジの上にメッキをするとネジの径が約0.1mm太くなってしまい、(厳密に言うとネジ底部に亜鉛が少し堆積するのでよりきつくなります)ナットがはまらなくなります。
そのためどうするかといいますとメッキを依頼するときにナットを全部はずして、メッキをしていただきます。
ねじの目底に亜鉛が堆積するとナットがはまらなくなるので、メッキ槽から上げると高温のうちに遠心分離機にかけて、余分な亜鉛を飛ばすことにより、
ボルトのねじ部分を正常に保つことができます。しかしメッキの厚みが0.04mmあるためはずしたナットは力づくでやっと入るか入らないくらいです。
そのため通称「1厘太」と呼ばれる穴径が約0.3mm穴の大きいナットにドブメッキをかけたものを取り付けます。
ですから手間がかかって面倒なんですが、オーダーが掛かれば何でもやります。
ところが3年位前からそのメッキ工場にZボルトのメッキ依頼品がトレーラーでやってきました。
大口でナットなしのボルトが梱包で来ています。
担当に聞いたら、住友林業の家だそうです。さすがは大手ハウスメーカーです。
傘下に新築そっくりさんやユニバーサルホーム・イノスの家などの住友不動産を抱えていますので、4社分なんです。
ところが、昨年のある時金物メーカーのカネシンがドブメッキ風の「ブロイズ」というメッキボルトを発売しました。
一応カネシンに問い合わせたところ、
住友林業さんに買っていただいております。」
とのこと。実は既製品だけに当然価格が安い!
いつものように、めっき工場に行って担当に会ったとき、
住友林業さんに取られましたか?」
と聞いたら
「それは聞かないでください・・・。ブロイズなんかメッキじゃないよ。タダの塗装。そうだ!ブロイズのサンプルいただけませんか?ブロイズがどれくらい錆びやすいか住友林業さんに教えてあげるから。」
「それじゃいつもお世話になっていますので、頼んで見ます。直送しても良いですか。」
「直送だけはバレるのでまずいから、一度そちらに入れてから頂きます。」
その後メッキ工場にブロイズのサンプルを送りましたが、形勢逆転とは行かなかったようです。
それではまた。
220927