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今週の問題(当店の開業時)

来月で創業57年になります。(どこかから「あと12年」と聞こえてきそうです)
父から聞いた話ですが、開業の昭和33年3月は、丁度マキタが電動工具の第1号機の電気カンナを発売し
日立は電動工具の製造をしていましたが、建築用の電動工具は手掛けておりませんでした。
建築現場にある電動工具はバカでかい電気ドリルだけ。
それも持っている人はごくわずかの15000円くらいする高級品でした。
それもそのはず、当時のサラリーマンの平均給与は15000円程度、大工さんの日当は500〜600円。
今なら50万円くらいの価値でしょうか?
でも使い道が限られています。ホゾ穴とボルト穴くらいしか使えません。
マキタの発売した電気カンナは当時定価29800円。
当時は定価販売していたところもあったようですが、父は開業間もない当時で新規客が欲しく
ほとんど利益を取らずに23500円で販売していたと伺っておりますが、それでも当時の大工さんは
「日当の2か月分も払えない。」
と、なかなか普及しませんでした。
ところが開業翌年の昭和34年伊勢湾台風によって、地元は甚大な被害がありました。
現在の東北の被災地の状態と同じで、大工さんに仕事をお願いしても、なかなか順番が回ってこない。
当時は新建材なんてありません。加工材もありません。
すべて白木。いわゆる製材した木材。
木取りから仕上げまですべて手加工でした。
ここまでくれば日当が2か月分なんて言っていられません。
困っているお施主様のために電気カンナを買って、早くお施主様のお願いを形にしないといけない。
さらには遅まきながら日立も電気カンナに参入し
おかげさまで、当店が何とかここまで来られた礎がここにありました。
すべてはお施主様と御大工様(当時は本当に「御大工様」とお施主様に呼ばれていました。)とメーカー様とおかげでございます。


ところで、父が開業するにあたり、手持ち金は10000円しかありませんでした。
実は父よりも先に開業した兄弟子を目標にしておりまして、
親方の意志に反し年明予定の一年前の開業を目指していました。
幸い、当家の祖父に養子として向かい入れて頂けたので、家屋敷だけはありましたが、
近所の大工さんに店頭改装と目立ての作業台をお願いしたら全部で10000円ほど掛かると言われました。
父は改装費を5000円と腹積もりしていて、残りのお金で商品を仕入れようと思ったんですが計算違いでした。


さて問題です。


父はこの手持ちの10000円でどのように商売を始めたのでしょうか?


この時期は道具の問屋さんさえ知りません。
父の親方は目立専門業で知っているのは修行中に来ていたヤスリ屋さんと鋸鍛治屋さんだけです。
しかも年明前に飛び出してきたので、一切手は貸してくれません。


解答はまた来週!