先週、ラジオ番組パーソナリティ、タレント、随筆家、放送作家、作詞家など
多方面に置いて、多くの輝かしい業績を残されました永六輔さんが永眠されました。
過去に何度も取り上げてきましたが、永六輔さんが職人さんが使う寸法の単位である尺貫法の復活に
大変な貢献をされた方でした。
参考アドレス:http://motoda.exblog.jp/1250295
この文面には明治よりメートル法と尺貫法が併用されたと書いてありましたが、
昭和初期の父の世代も明治の祖父の世代もメートル法は知らずに育っていました。
現実には戦前の昭和20年までは、一部の人を除き、ほとんどの人は尺貫法が基準でした。
それが昭和34年に尺貫法が使えなくなりました。
なんと尺貫法を使うと処罰の対象になるようになりました。
先ほどのリンク先には表記がありませんが、それまでの尺貫法には決められた基準がなかったようで
作られた時期のサシガネによって微妙な誤差があり、和裁で使う鯨尺に関しては
かなり違っていたようです。
法規制前の寸は1820mmを6尺としているものが大半で、現在一番多いモジュールの元になっているようです。
昭和34年以降は寸目のサシガネが欲しいという要望が多く、
無印のヤミのサシガネが多く出回っていました。
永六輔さんも尺貫法世代と思われます。
リンクでの
「昭和51(1976)年、知り合いの指物師から曲尺で仕事をして警察に呼び出された、という話」
を不可解の感じるのは当然と思われます。
永六輔さんのおかげで、寸を使っても処罰されなくなりました。
サシガネメーカーやスケールもメーカーも寸目が作れるようになり
ヤミの寸目がなくなったのは良いんですが、
申し合わせで各社寸目をメートル法で計算できる「1寸=1/33m」にしたため、1間=1818.1818・・・mmとなり、
昭和50年代の墨付けには微妙な誤差が生まれ1間で2mmの違いで基礎と土台が合わないことが良く起こったようです。
日本の住宅はメーターモジュールもありますが大半は3尺モジュール。寸を使ったほうが割り間が良いだけでなく
老眼にやさしい寸目がシルバー世代でも仕事がしやすいこともあります。
先日、廃盤になりましたカーペンターゲージ。
アリもカマも2分5厘開きになっています。
地元愛知ではほとんどの方がカマは2分5厘開きでアリは3分開きですが、
別の地域では2分5厘開きのアリを使われているところも多いとか。
カマは開きを2分5厘の設定にするわけではなくサシガネの幅の中間点のために2分5厘のため
どこの地域も同じ寸法のようですが、アリはサシガネで開きの墨を入れるため
寸目のサシガネが禁止になった時点でヤミのサシガネを販売した地域は9mmより3分の墨が見やすい3分開きで
使われるために、メートルサシガネの普及と3分開きのアリに関係があるのではないか?と言われております。
改めまして、尺貫法の復刻に貢献頂きました永六輔さんのご冥福をお祈りいたしております。