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藤田丸鋸の切れる理由を考える

先日の記事から藤田丸鋸のチップソーの注文をたびたび頂いておりまして
ご注文いただいた方には、感謝しております。
店頭販売分でも、こちらの地区では全くの無名で純正よりも高いチップソーを
何とか、買える価格まで落として販売しておりますが、
試しに購入された方が
「今までマキタの白いチップソーを使っていたけど、こっちの方が全然切れる。」とか
※上記は、ある大工さんのお話です。決してマキタの刃が切れないわけではございません。
「この前、騙されたつもりで買ったけど、本当に切れる。どうして?」
藤田丸鋸さんの工場の行ったわけではないので(工場のすぐ前には行ったことがあります)真相は不明ですが、
これまでに確認したこととして、


1.電話で伺った時に「ウチは腰入れをしていない。」
2.元々、手鋸の会社であった。
3.素材の加工から完成まで、すべて自社工場で行っている。
4.某チップソーメーカーの台金も請け負っている。


ここから考えられること
1の件は意味不明のように思われますが、
あるチップソーメーカーはスリットの入っているチップソーに腰入れ処理をしてあると明記されているものがあります。
そもそも腰入れとは刃の半径の中央部分を円周状に伸ばして木材切断時、刃先の熱膨張しても
長さが吊り合って、刃がブレないような工夫をする処理のことである。
しかし、この場合スリットがないことが前提である。
スリットがあると腰入れをしてもスリットの間隔が狭くなるだけで無意味である。
またスリットは本来、腰入れの代わりに刃先の熱膨張してもいいような対策である。
それと腰入れにはデメリットがある。
腰入れをすると板を伸ばすため丸鋸の台金が歪んだり、ベカ付きやすくなります。
ですから、スリットを入れたら腰入れをしないことがベストと思われます。


2の件は父も目立て屋でありまして、鋸の製造や修理において歪み抜きの技術は不可欠であります。
もちろんチップソーの台金を製造している工場には、必ず歪み抜きの方がおられます。
長い取引先のチップソーメーカーの社長さん曰く
「歪み抜きが一人前になるまで10年かかる。」
と言われました。
また一つの考え方として、工員が手掛ける作業と職人が手掛ける作業の違い。
個人的な勝手な解釈ですが、(失礼なところがありましたらお詫びします)
誰が手掛けても安定した品質のモノを手掛けるのが工員。
少しでも良いもの手掛けようとするのが職人。
この後は、ご想像にお任せします。


3の件ですが、190mm以下の廉価版のチップソーのほとんどは現在、中国か東南アジアで作られています。
それをあえて自社の職人さんに頼るところに何かあると思います。


4の件は同業他社が信用している証明と思われます。


刃先のチップや研磨に関しては機械任せのため、そんなの大きな差が出るとは思えません。


ここから、考えられる違いは、台金の精度の違いしか思えません。
チップを付ける時はサイド研磨する前ですから、刃先の精度も研磨機頼りになります。


さらに忘れてはいけないこと。
現在、主流のマルノコはほとんど深切。
深切マルノコはフランジ径が約30mm。チップソーの穴径は20mm。
と言うことは穴の外周の僅か5mmしか固定していない。
その条件下で刃を正確にまっすぐ回すためには台金の精度と安定性が命と思われます。


それともう一つ忘れてはいけないこと。
使用者が評価する曖昧な表現の「切れる」の解釈。
一般のチップソーは刃が材料に当たるとき。微妙に振れながら切断を始め、刃先が切り込み始めると振れが止まります。
この時に最初の振れが少なければ少ないほど「スーっと切れる」と言われます。
・軽く切れる(=速く切れる)
・きれいに切れる
上記以外の切れる表現として
・ブレずに墨通り気持ちよく大人しく切れる。
ここに違いがあるような気がします。


今回は裏付けを取っていません。
あくまでも個人的な勝手な思い込みです。
問題のある時は、ご指摘願います。