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大工さんの鋸の変遷

充電マルノコを見るたびに思うことですが、
現在の充電マルノコは従来のマルノコのコードがなくなって進化したものではなく、
ゼットソーが電動化したものと言う解釈の方が合っていると思う。
外部や屋根周りの作業に本来なら携帯するゼットソーの代わりに使われているウエイトが大きい。
それなのに携帯用のフックが付属されていないのは不可解であるが、
メーカーさんには失礼な言い方であるが、各社とも現場の理解ができていないような気がする。


目立て職人である父が昔言っていたことであるが、
「レザーソーが出た時、これは脅威であった。」
それまで、造作用の鋸はすべて手鋸であった。
その前に丸鋸が普及し始めたときはそれほどでもなかったらしいが、
目立て代よりもはるかに安い替刃鋸は目立ての仕事量の影響が大きいと予測したらしい。
当時はレザーソーを販売することを最初は拒んだようであったが
お客様から言われるために、仕方なく在庫をした。
但し、目立て屋のプライドがあるので、替刃の1枚1枚をすべてチェックして、反対に曲がるような刃は直してから店頭に置いた。
でも、実際には導突や8寸鋸の代わりに使われたのではなく、そのころから増えた洋間(それ以前は洋間がなかった)の化粧材を切っていたようである。
レザーソーの玉鳥も次の市場を目指し9寸鋸の代わりに使える背金のないプロトンパワーソーを発売したが

これは思うように売れなかった。
ところが、完全にパクリの岡田金属のゼットソーが発売されると瞬く間に市場に浸透した。
売れた理由は刃先をあえて揃えずに5本に1本低い刃を作って引っ掛かりを良くし、
切れ味(この場合、早く切れると言う意味)優先したこととなっているが、
今考えてみると、別な理由が大きいと思う。
パワーソーが発売されたころはホームセンターもほとんどなく、大半は目立て屋で売られていた。
当然、PRはしない。
大工さんもプロ意識が強いので素人用のような替刃鋸は手を出しづらかったと思う。
実際に使うと9寸鋸と切れ味は変わらないが、腰が弱く使いづらい。
ゼットソーも同様であるが、9寸鋸よりも引っかかりが良いので
「ゼットソーは切れる!」
の現場の声で一気に広まったようである。


今は、そのゼットソーも充電マルノコのおかげで売れ行きが激減。
代わって125mmのチップソーが良く売れています。
次は、何に代わるのでしょうか?