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片差しビット〜トシカネ流解説〜

昨日もお話しした片差しビット。

「片方しか使えないので勿体ない。」
「先端にドリルが付けられない。」
などのご不満もありますが、個人的にお勧めする理由をお話しします。


そもそもこの片差しビットはインパクトドライバーが発売される前からあったものであり
インパクトドライバー用に開発されたものではありません。
そのため、各社発売しておりますが、新製品でもありませんから特に拡販はしません。
最近のインパクトドライバー用のビットは
インパクト対応”とか”18V対応”とか
意味不明な謳い文句を付けていますが、これは何かの細工がしてあるわけではなく
タダ売るためのポップにしかすぎません。
最近のインパクトドライバーはトルク表記をどんどん上げています。
何度も言いますがインパクトのトルク表記は打撃の強さでなく
あくまでも仮締めしたナットを3秒間締めたときのナットの締め付けトルクであります。
「だったらやっぱり強さじゃない?」
と言われそうですが、モーターの回転を確実に伝えればナットは早く締まります。
言い方を変えるとスリップしにくくしてカムアウト寸前まで空転しないインパクトにすれば早く締まります。
ですから、「トルク=強さ」は間違いではないですが決してイコールでもありません。
使いやすいインパクトはカムアウトせずに確実に締まること。
最近流行りの「トーション効果」はカムアウト対策になっていますが、
打撃を若干吸収するために締め付け速度が遅くなり「トルク表記」も小さくなるはずです。
ですから使いやすいインパクトはトルク表記の小さいインパクトと言うことになります。


前置きが長くなりましたが、今回の100mmの片差しビットは市販のトーションビットよりも
細い部分が明らかに長くなっております。
ですから通常のトーションビットよりもトーション効果が大きくなるはずです。
これが使いやすい一つ目の理由です。
片差しビットの65mmだと細い部分が短いのであまりトーション効果が期待できません。
逆に150mmの片差しビットは踏んだり落としたりして曲がらないように細い部分の半分以上が少し太くなっております。
そのため65mm同様にトーション効果が十分に得られません。


今回の100mm片差しビットにはもう一つ使いやすい理由があります。
木ネジを締める時にネジ先が冬目(年輪)に対して斜めに当たった時、
ネジ先は楽な方に逃げようとしてビスが少し傾きます。
あるいは中国製の安いコーススレッドに多く見られますが半ネジの切り始め部分が多少曲がっているものがあります。
そんなビスを締める際、+を請けるネジ頭が左右に首を振るのに対し
ビットそのものが融通の利く軸の細長さが有効になります。
トーションビットの場合は”へ”の時には曲がりますが、
頭の振るネジ頭はクランク気味に曲がらないとカムアウトします。
そのためにも細長い軸が有効になります。


それとさらにもう一つの理由。
それはメッキしていないこと。
メッキしていない+頭を”#2”形状に仕上げますが、
その状態にメッキを掛けることにより、+の板は厚くなります。
板が厚くなればネジの+穴と微妙に相性が悪くなります。
実際に今回の同サイズにメッキ品がありますが
両方を使い比べた方に伺うとメッキしていない方が滑りにくいと言われます。


結論として、ビットどうこうの問題よりも
インパクトの打撃を可変できるインパクトドライバーが発売されたら終止符が来ると思います。