トリマーの修理を預かりました。
症状を伺うと
「動かん。」
これは間口の広い言い方で聞く側に先入観があると先に進まない。
この場合
1.通電しない
2.通電するが回転しない
今回は聞くまでもなく刃物を手で回せば結果は分かります。
手で回した時回転が重いので今回は2になり、原因はベアリング不良でほぼ確定。
すぐ欲しいと言われましたが
ベアリングがすんなり抜けず30分ほどかかる可能性もあるので
「今日中でもよろしいですか?」
と伺いOKを頂き、じっくり直せます。
トリマーは先にカーボンブラシを外してから分解しますが
何かカーボンの様子がおかしい。
よく見ると
木口の一部しかアマチュアに当たっていません。
年配の方に多いのですが何かおかしいとカーボンブラシの木口を削る方がみえます。
これは百害あって一利なし。
アマチュアの丸みに合わせて削るならまだしも
平らに削ると面で当たっているべきところが点で当たるようになります。
アマチュアのコンミテータ―(電極)に2か所ぐらい当てて
複数のコイルに電流を流してパワーを出すべきところを
点で当たると1か所しか流れないのでパワーダウンするし
傾いて削ると180度反対側に当たらず回転しないケースもありえます。
ですから、絶対にカーボンブラシの木口を削らないでください。
それでも「カーボンを削ったら直った!」と言われる方がみえます。
この場合、カーボンを削ったから直ったのではなく
癒着していたカーボンブラシを抜いて、癒着を解いたから
回転するようになったと思われますので、
替えのカーボンブラシがないところでカーボンブラシが怪しいと思ったら
カーボンブラシを抜いたとき、引っかかる感覚が無かったか?
挿入するとき楽に一番奥まで気持ちよく挿入できたか?
確認するだけで、良くなることがあります。
今回はトリマーのベアリングを交換してカーボンブラシを交換するには勿体ないので
モーターを1分ほど空転させてカーボンブラシの接地面を大きくしました。
最初はモーターの回転が何となく弱かったですが30秒過ぎには元気よく回転しました。
数時間後、お客様が再来店されましたので
「カーボンブラシの木口を削りませんでしたか?」
「カーボンなんていじってないよ。」
「でも、木口が平らでモーターのあたりが悪くなっていましたが。」
「あっ!削った。」
どうも無意識に削る方のようでした。