PVアクセスランキング にほんブログ村

尺カンナ

一昨日、ある年配の大工さんが尺カンナの話をされましたので、それに纏わる薀蓄をタラタラとお話したことを
本日に記事にしてみます。


尺カンナが発売されたのは今から20数年前。
それまでは最大でも170mmまでの電気カンナしかありませんでした。
こちらの地区では家の大黒柱は最低でも6寸、大きいと7寸から尺が多く、大きい電気カンナの発売を
地元の大工さんは首を長くして待っておりました。
この頃マキタは、いち早く尺カンナを発売しようと計画をしておりましたが、ドイツ製で尺カンナがあることを発見し、
緊急輸入でマキタブランドで50台仕入れ、カタログには載せず、太い通し柱を使う北陸地方の展示会で全部売り裁いたようです。
(但し当時の定価は498000円と破格でした。)
当時の担当者は追加発注しようとしたところ、松井鉄工所さんからこんなお願いがあったようです。
「マキタさん、今度尺カンナを作ろうと思いますが、それにつきまして部品を譲っていただけないでしょうか?」
「もちろんOKですが、実は当社も作ろうと思っていたんですが、出来ましたらウチの分もお作り願えないでしょうか?」
「しかし、同じ時期に発売すると、松井ブランドが売れませんので、ある程度経ってからで宜しいでしょうか?」
「了解です。」
と、言うことで、松井鉄工所がマキタの5寸の電気カンナの部品にプレナのモーターを取り付けた松井製の尺かんなが発売されました。

でも、この尺かんな違和感があります。
良く見ると鉋屑の排出が左勝手なんです。左利きの方が使うのは使いやすいですが・・・。
一説によると、右勝手にしたとき、ベルトカバーが出っ張り本体を少し遠めで持つため、運びにくいのが理由だったとか。
それから数ヵ月後、予定通りマキタから松井製の尺カンナが発売されました。

もちろん右勝手です。形を変えてカモフラージュしていますが、(すみません全部バラしています。)
当時この機種が発売されるまで、170mmの電気カンナは5万円弱。
それに対して松井の尺かんなは13万円台。
さすがに買う側が躊躇します。
そこでマキタにお願い。
「10台買ったら特別価格を出してください。」
回答は「後日連絡いたします。」
数日後、目一杯値引きして、さらに補填することで決着。
両親に「こんな買って売れるのか?」
と、言われましたが、結局この月、予定超過の11台販売し、在庫も追加して1ヶ月13台仕入れましたが、
たぶん最高記録だと思います。
以上、本日のプチ自慢でした。
2511949