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よくある修理(マルノコブレーキその1)

今から30年くらい前はマルノコを買われるお客様に、
「ブレーキ付きにしますか?」
と、尋ねると半分くらいの人が、
「すぐ壊れるからいらない。」
なんて言われていました。現在ではブレーキの効かないマルノコなんて売れません。
(プロ用はすべてブレーキ付です。ブレーキなしなんてありません。)
ブレーキの原理は惰性で回転しているモーターをスイッチを切った瞬間に発電機に見立てて、発電した電流を流し、そこで発生するトルクによって止まります。
ちょっと分かりにくいですが、自転車の発電機と同じ原理でライトが付いてない発電機はタイヤに負荷が掛かりませんが、
ライトをつけるとタイヤが少し重たく回ります。その原理なんです。
最初にブレーキ付きを発売したのが日立製作所(現在は日立工機)のPSB−7です。
このマルノコは、モーターで発電した電気を5mコードの中に入れてあるブレーキ用コード(5mを往復して計10m分)に電気を流して止めていました。
そのため、電気抵抗が小さく、すぐに止まってしまうため、停止時のカーボンの火花が大きく、カーボンの損傷が激しかったんです。
また、コードの中にブレーキ用のコードがあるので、コード修正が出来ません。(短くすると余計に早く止まって不具合の原因になります。)
そのため、次に形式PSB-7Aはチップソーの裏側に抵抗を入れてその抵抗に電気を流しました。
今度はゆっくり止まるようになりましたが、抵抗に流れる電流が大きいため、抵抗の寿命が短くすぐに廃盤になりました。
この頃マキタもブレーキ付きマルノコを発売しました。形式5800NAです。
これは始めてステータコイル(モーターの固定側コイル)に発電した電気を流すタイプでした。現在の主流タイプです。
現在主流のステータ方式はステータコイルと一緒にブレーキ専用の巻数の少ないコイル(ブレーキングコイル)を巻いてその中に電気を流します。
ステーターコイルそのものの質量が大きいので、ブレーキングコイルの発熱をステータコイルが吸収するため、焼けにくい利点があります。
日立もこれに合わせてステータコイルに発電電気を流すタイプのPSB-7Bを発売し、旧タイプは不具合が多かったため、
修理に来た旧タイプを新タイプに変更するため、PSB-7Z改造セットというキットを部品補給して、その頃何台も改造させていただきました。
これが結構面倒でした。セット内容が5mコードとスイッチとステータコイルと銘板に貼る「PSB-7Z 」のシールが入っていました。
実は、この交換、マルノコの部品のすべてを外します。
当時この業界に入って間もなかった自分には、交換に1時間くらい掛かりました。
続きは明日。
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