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今昔物語(マルノコ編2)

5本線コードのマルノコは今考えると重く硬いものでしたが、当時の方はそれほど気にされていませんでした。
この当時は人間プレカットしかなく、機械が重けりゃ、造作材も全部大工さんの加工。
今の大工さんには考えられないほどの重労働の日々だったと思います。
ですから、当時の大工さんはみんなボディビルダーかプロレスラーのような体形。
少々マルノコが重くても、コードが硬くても、それほどのクレームはありませんでした。
ただ、5本線のコードは途中で切れるとコードが短くなってしまい、ブレーキの効きが早くなって危険ですので、
原則高い5本線のコード交換となります。
そのため次に5本線をやめて、刃の裏に大型抵抗器を入れて電気を逃がす方式(PSB-7A)にしましたが、
この抵抗器も直ぐに焼けて問題が多かったため現在のステーターコイルにブレーキングコイルを巻く方式(PSB-7Bにしました。
しかし、この前2作の影響で
「ブレーキ付きは直ぐに壊れる。」
と言う風評が流れてしまい、マルノコを購入する際
「ブレーキ付きは要らん。」
と、言われる方が半数くらいみえました。(今では考えられないですね。)
日立も前2作の対策として「PSB-7Zセット」と言う部品を用意しました。
これは前2作を新型のPSB-7Bタイプに改造するセットです。
内容は、アース付コード5m・スイッチ・ブレーキングコイル入ステータ・モデル変更シール「PSB-7Z」以上が梱包されていました。
メーカーに出すと工賃を3000円以上取られますので、入店当時のド素人の自分が1時間以上掛けて交換していました。(今なら20分あれば出来ると思います。)
でも当時は月給4万円(時給換算で200円)でしたから、我ながら優秀作業員だと思います。
それからブレーキ付が浸透するまで、3年くらい掛かったような気がします。


その後、次世代のマルノコがリョービから発売されました。
刃の径が160mmで、ベースが小穴カッターを一回り大きくしたもので、定規は小穴カッターと同じ2本の丸軸定規でした。
傾斜が90度の微調整しかできない程度しか動きません。その代わり刃口が極端に狭い。(もちろんスライドプレートはありません。)
付属の刃はチップソーではなく、刃が100枚以上ある超薄刃でした。(もちろん直ぐに刃が摩耗します。)
このマルノコなら刃さえ交換すれば今でも十分売れると思います。
しかし、当時の大工さんには
「落としたら割れる。」「傾斜が出来ないんじゃ・・・」「高すぎる。」「二寸切りなら買うけど。」
などの理由であまり思うようには売れませんでした。
その半年くらい後だったと思いますが、現在のマルノコの原型である造作マルノコC7Bが発売されました。
従来の鉄板ベースをアルミベースに交換し、無用の長物であるスライド刃口を付けて、平行定規の厚みを1mm厚くしました。
このマルノコは大変良く売れました。
でも落としたら割れるアルミベースへの不安感があって乗り換えられない方も一部見えました。
その後、追いかけるようにマキタも精密マルノコという名で発売し、
リョービも傾斜の出来ない造作マルノコを廃盤にし、傾斜できるアルミベースタイプを発売しました。(これは売れませんでした)
続く
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