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昇圧器

昨日は低電圧焼けについてお話しましたが、電圧が低いなら昇圧器を使えば・・・。
と、言われそうですが、昇圧器を使えば必ずしも低電圧を解消できるわけではございません。
昇圧器は一般的に1次側のコイルを85V用にして2次側のコイルを110Vくらいに設定してあります。
基本的に電力会社から来る単相100Vはあくまでも公称電圧で実際は高圧線の6600Vをトランスで単三式の+110V・-110Vにして、
その中間の0Vと+110V(またはー110V)から電圧を取るために実際は入力が110Vあるはずですが、
実際に使うまでの間で、コードが長かったり、電流をたくさん使ったり、コードが細かったり、色々な事情で電圧が下がり、
実際使用するときには100Vくらいになる予定なんですが、条件が悪いと90V以下になったりすることもあります。
PL法では、電力会社はコンセント出力で100V±10%で供給しなければいけないようですが、
建築現場では、コードを伸ばしますし、タコ足も日常茶飯事ですし、色々な業者が同時に作業されますので、
電圧が90Vを切ることは珍しくありません。
電動工具も定格では85Vでも、通常どおり作業できないといけないことになっておりますが、
プロ用の機械は75Vまで下がっても使える設計になっています。
(ここがDIY用とプロ用の違いです。)
前置きは長くなりましたが、昇圧器は入力が、あくまでも85Vの設計になっていますので、75V付近まで下がると昇圧効果が悪くなります。
また、出力側のコイルの巻き数が多いためインピーダンス(交流抵抗)が高くなるため、電圧が下がりやすい電気になります。
ですから、電圧が25%くらい上がるようにみえますが、元々パワーのない入力電圧ですから、
上り坂の登る自動車がギヤー比を変えても極端にスピードが出るわけでもないのと同じ効果になります。
昔、MAXの営業マンが
「高圧コンプレッサーを販売する時、昇圧器をセットで販売する販売店がいるよ。」
と言う話を聞いたことがありますが、これで問題が解消したという話は聞いたことがありません。
今から30年以上前に自動カンナやミゾキリ、マルノコの縦挽きなど長時間パワーの必要な作業で単純なカーボンモーターでの作業には重宝されました。
しかし、カーボンブラシの消耗が激しいとのことは言われました。
現在の造作作業では、そんなにパワーの必要な作業はなくなりました。
また、最近は電子機器の取り入れた電子式やブラシレス、あるいは急速充電器など、通常より高い電圧にはトラブルが発生するかもしれないものも増えています。
ですから当店では、むやみに昇圧器の御使用はお勧めいたしません。
それではまた。
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