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Zソーのお話

今や、手鋸と言えばZ(ゼット)ソー。これは岡田金属の登録商標です。

売れている商品なら、当然類似品がたくさんあります。
類似品を作っているメーカーと裁判を起こしたくらいですから、
日本の大工さんで使ってない人はほとんどいないでしょう。
どうしてこれだけ売れているのか。
Zソーが発売されたのは今から25年前ぐらいだと思います。
当時岡田金属はパネルソーという背中の部分に背金(レールのような物)が付いた替刃鋸を製造していましたが、
元々タガネ(石やコンクリートを割る工具)メーカーでしたので、
あまり鋸は生産していませんでした。
背金が付いていると大きい物が切れません。
当時、背金の付いていない替刃鋸は玉鳥産業のパワーソーという商品がありました。
このころは目立て(鋸研ぎ)をして使う両刃鋸が主流であまり売れませんでした。
岡田金属はこの領域の商品に参入しようとZソーの試作品を作り現場の大工さんに
使って頂く段取りをしている時に、こんな鋸を作ったらと言う提案が出ました。
早速、普通のタイプと提案したタイプ2種類の鋸を持っていろいろな職人さんに
使っていただいた結果、あとから提案タイプの方が評判が良かったのでそれを商品化することにしたそうです。
発売された時期と人件費の高騰による両刃鋸の目立ての値上げ、応援の大工手間の値上げ等が重なり、
あっという間に普及しました。
さらに先ほど示した提案が売れた理由の一つでもありました。
どんな提案だったかと言いますと、
「目立てをする鋸よりも切れる。」と言うことだったのです。
ここでの「切れる」という表現は綺麗に切れるという意味ではありません。
早く切れるという意味です。
両刃鋸の目立ては刃先の高さ・アサリ(刃を1本おきに曲げる)を限りなく揃えることがプロの技です。
刃先が揃っていると木口が綺麗に切れます。
そのかわり、切断時当たっている刃がすべて同じように当たるため食いつきが少し悪くすべる感じで切れます。
Zソーは提案では上目といって横目の刃先のみ研ぐ部分を5本に1本余分に削って他の刃より低くしています。
そうすると全部揃えた鋸よりも切れ肌は落ちますが、食い込みやすくなり
下地材を切る時「よく切れる」という表現になります。
しかし、この種明かしは、いまだZソーの梱包のどこにも表現されていません。
記載すると、他社にバレルのを避けたのか、目立て屋さんに嫌われるのを避けたのか
理由は分かりません。
でも、類似品はみんな真似していますが・・・・・・