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両刃鋸 その2

前日の通り、当店は両刃鋸の目立てを中心とし皆さんのおかげを持ちまして現在に至っております。
今でも両刃の替刃鋸は刃渡り270mmと書いてあると尺鋸。240mmと書いてあると9寸鋸と言います。
これをお客様に「何でだ?」ってたまに聞かれます。
「それは刃渡りじゃなくて首からの寸法だよ。」
と、言われる方も見えますが、真実ははっきりとは言えませんが、父の親方と言う人は目立て職で何度も表彰された方でその方の話では、
「両刃鋸は江戸時代初期までは片刃鋸しかなく、江戸時代のある大工の発案で両刃鋸が開発され当時は尺鋸は刃渡り尺、9寸鋸は刃渡り9寸、8寸鋸は刃渡り8寸という風だったが、それを目立てをしようとすると鋸の両端の刃が潰れていない。これは両端の刃を使い切れていないと言うことである。そのため使わない分刃渡りを1寸短くして無駄をなくし、長さが短くなった分だけ鋸の腰も強くなって使いやすい。これが現在に至っている。」
現実に9寸の8寸目鋸とか、8寸の7寸目という鋸があるが、父の話ではそれが昔の本来の鋸らしい。
また、大工さんは鋸を刃渡りで呼ばずに、目的を主体とした呼び方をしている。
例えば
尺鋸=キザミ用(切れ肌よりも切る速度を重視)
9寸鋸=造作用(細かいもの切っても引っかからず、ほどほどの仕上げ面)
8寸鋸=仕上げ切断用(切り口が鉋掛けしたように切れる)
7寸鋸=超仕上げ切断用(特に切り口を綺麗に切る)
と、いったように刃の長さでなく何に使うか?と言う目的の代名詞として呼んでいるような気がします。
だから、長さが1寸違っても、いまだに気が付かない人もいるようです。


しかし、世の中は変わり現在はほとんど両刃鋸を使わなくなってしまいました。
父がいつも言ってました。
大工さんがマルノコを上手に使うようになったら、目立てが半分になった。
大工さんがレザーソーを使うようになったら、目立てがまた半分になった。
大工さんがZソーを使うようになったら、目立てがなくなった。
私も少し目立て仕事をかじらせていただきました。でも私の仕事は大工さんをはじめとする職人さんのサポートです。
仕事内容が変わっても仕事の目的は変わりません。
今後、電動工具がなくなっていくかもしれません。しかし、その時電動工具に変わる何かが出てきます。
その時、その時代に合わせて職人さんのお役に立てればと思って、明日からも頑張らせていただきます。
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