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拾い物

今回は少し横着をさせていただきます。
たまたま、「日本の職人の現状」が書かれたサイトを拾い物したのですが、
メインページにタグが出ているのに、リンクが貼り付けられていないので、メインページから見ることができません。
あまりにもいいことが書いてありましたので、皆さんにご紹介したいと思います。
本来ならリンクを貼るべきところでございますが、リンクを貼ると見る方が少ないかもしれないので、
直接コピーぺーストさせていただきます。
リンク元には了解を取っていません。
もしこのサイトの管理者がご覧になりましたら、勝手に記載して申し訳ございませんが、メインページのリンク貼りをお願いします。
リンク元アドレスhttp://www.keyaki.co.jp/furoku2.html
以下は上記アドレスの引用でございます。
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日本の職人の現状

 職人の事について少し書いてみようと思います。と言っても、自分の知っている職人とは、大工や木工・左官・タイル・建具の職人、つまり建築業に関わる職人達の事です。

 まず第一に職人に対する現在の待遇です。現在の日本人の多くの給料は月給制で、年2回のボーナス・週休2日・有給休暇があると思いますが、職人の世界では未だに一日を1人工で計算します、つまり日給月給です。従って休みが多ければ当然、給料も少なくなります。まして有給休暇などという話は聞いたことがありません。早い話が、日雇人夫とかわらないのです。

  職人の中でも、比較的若い人たち(子供が育ち盛りの人たち)は、休みなど無くてもいいから少しでも多く稼ぎたいと思う。しかし、年老いた職人は無理しない程度に働きたい。そのような職人を上手くまとめて、1つの仕事をやらせるというのは私達にとって大変な事なのです。特に最近の仕事は低コスト・短納期など仕事の波が大きく、その為に集中的に仕事をしなければならず、残業をしながらこなして利益を出していくのはとても難しくなってきています。その為か、数年前から老舗の木工所などが倒産したり、閉鎖している所が特に多くなっているのが現状です。

 第二に職人といってもピンからキリまであることです。例えば、石こうボード、クロス、ジュータン貼りの仕事では、やる気になれば3ヶ月ぐらいで一人前になると聞いています。でも木工・大工職人は、まず初めに刃物の研ぎから始めて、一人前になるのに最低でも8から10年はかかります。バブルの以前までは工務店にしても木工所にしても、多少の余裕があったのですぐに一人前として使えない見習いの職人を使っていてもなんともなかった。またその会社の今後・将来の為にも、若い職人を育てていかなければならなかった。だが現在では、そのような余裕など全く無いのです。若い職人を育てなくてはいけないと思ってはいても、経営上はとても無理な状況なのです。また、新しく職人になろうとしている人も、10年かけて大工になるのなら、3ヶ月で一人前の職人になれる別の職を選んでしまいます。まして10年修行して大工になっても、特別にいい手間(収入)が得られるという保証は無いのです。

 今新たに木工職人を目指している人は、木がとても好きで、木に携わる仕事をしたいという思いを持った人ぐらいではないでしょうか。今自分の周りにいる木工職人を見回してみても、若くて40代、ほとんどが50代、60代の人達です。あと10年もすると、木を使ってなんでも造ることができる本当の職人はほとんど引退して居なくなってしまうでしょう。

 その反面、設計士・インテリアデザイナー・コーディネーターは、毎年学校を卒業してどんどん社会に出てきています。そして彼らは、他の人とは違うもの、変わったものをデザインし、図面にしていきます。

 だが、いくら素晴らしい発想で設計・デザインしても、そのデザインを忠実にイメージ通りに形(建物・家具・器など)に出来る職人がいなければ、どうしようもないのではないでしょうか。だとしたら、今からでも少しづつ本当の木工職人を育てていく事を真剣に考えて行かなければいけない筈なのですが、現状は単価を安く施工してくれる所であればどこでもよく、職人の事などはまるで考えていません。若いデザイナーや設計士の人達と話をしてみても、やはり彼らも将来の職人さんに不安を感じているようです。

 ヨーロッパでは「医者・弁護士・木工職人」というくらい木工職人は大切にされ「うちのじいちゃんは木工職人だぞ!!」と子供が友達に自慢しているそうです。その理由は、厳しい長年の修行をしてきた人として尊敬されているからなのです。そして彼らが何世代にもわたって使われる家具や家をその手で一つひとつ造り上げるということにあります。そしてもう一つ、森には神が住んでいて、その神の持ちものである木を分けてもらい家や家具、生活道具を造る。その為、大切にしなくてはいけないという気持ちからきているのではないか、と言う話を聞いた事があります。

 さて、先日知り合いの木工店の社長と話をしていると、職人全員を手放してしまったとの事でした。これ以上かかえていると会社自体が傾いてしまう、現場を取った時だけ日雇いで職人を手配する、との事だった。やはりハウスメーカーの住宅(2×4・プレハブ住宅・住宅会社)に契約をもって行かれる為、工務店に来る在来工法(まず柱を立て屋根を上げる)で家を建てる物件が少なくなっているそうです。最近少しづつ在来工法の家が見直され、人気が出てきていて、4〜5年我慢すれば契約があるような話でしたが、それまで会社を維持して行く事が出来ないのだとのことでした。他を聞いてみても同じような話をよく聞きます。ますます職人が少なくなってゆくのです。10年後には家を修理するのに5〜6ヶ月待ち、さらに価格は高くなる事も当然おこってくるでしょう。現にアメリカやイギリスではそのような理由で自分達で行う為、Do it yorself・日曜大工が盛んになったのです。日本でも、週末にお父さんが自宅を修理・リフォームするのが当り前になる日が近い将来やってくるのではないでしょうか。余暇もどんどん増える事だし・・・。

 私達が思うハウスメーカーの職人というのは、”職人”というよりも”組立工員”というイメージが強いのです。それは、ある程度工場でパネルや箱の形にしたものを現場で組み立て、取り付けていくような所からくるのだろう。だから規格以外の事にはすぐには対応ができない。ましてや将来、修理やリフォームが出来るのかと不安に思います。

 やはりハウスメーカーの家は、建て始めると途中からの変更はなかなかきかないと聞きます。それに比べ在来工法の家は、確かに納期はかかりますが、変更もききます。図面で見るのと建て上がって行くのとではイメージがまるっきりが違います。それを一般の人が図面上だけで理解するのはとても難しいことなのです。少しづつ出来上がっていくのを見ながら、「ここをこうゆう風に」とか、「扉の位置を左へもう少しずらしたい」「ここに物入れを作りたい」というよに融通がきくのです。家というものはとても高価で、長く住むものだからこそ、じっくり考え、イメージを高めて自分なりの住み易い家を建てるべきです。そのような事も当り前のように出来るのは、本当の職人がいるからではないでしょうか。

 職人気質と言われるものがあります。細かな所にも気を遣って自分でも納得のゆく仕事をする気質であり、仕事そのものに対する精神でもあります。私は職人がいなくなることでこの職人気質が日本人から無くなってゆくのを感じます。何でも簡単に済ませてしまう、楽な方を選んでしまう、そんな人が多くなったような気がします。厳しい修行をした職人は簡単・楽を嫌い、自分に厳しく仕事をします。これは職人に接している私には、人にとっての美学ですらあると思っております。

『大工集団 欅』の職人はそんな職人気質を持った人ばかりです。私は素晴らしい職人達と仕事が出来ることを誇りに思っております。

 古く昔からある日本の職人の文化、博物館や美術館に並ぶいわゆる芸術品・美術品に限らず、木や鉄・ガラスなどのなかでも実際に生活品として人々に使われ、愛されてきたものに携わる職人の文化を、もっともっと大切に考え、想い、理解してもらえることを願います。

引用元:石川県 大工集団 欅(けやき)
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