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ケミカルアンカーとコンクリートドリル

在来の木造住宅では、土台やホールダウンを止めるアンカーを布基礎に予め埋(い)けておきますが、
たまに忘れた時、金属製のアンカーは開いて止まる方式で、開こうとする力で布基礎が割れるため
一般的にケミカルアンカーを使います。
 ケミカルアンカー
でもこれを使おうとする職人さんに
「これって本当に効くの?」
と聞かれます。
確かに埋けてあるアンカーには叶いません。
でも、金属アンカーが使えない以上は、ケミカルアンカーを使うしかありません。
「こんなものが本当にくっ付くのか?」
と言われる方も見えますが、基本的にケミカルアンカーは接着で効くアンカーではありません。
「はぁ?」
と、言われそうですが、それを説明する前にコンクリートドリルの話をします。


コンクリートは基本的に砂利とセメントで固まっています。
よくコンクリートに複数の取り付け穴のある器具を付ける時、先に穴を開けると絶対に位置が合わないと言われます。
なぜかと言いますと、コンクリートの錐が正確に墨通り入っても、その下の砂利に当たった時必ず錐先が
砂利のない方へ逃げながら微妙に蛇行穿孔し穴ズレを起こすからです。
ケミカルアンカーはこの習性を利用して、まずコンクリートドリルで蛇行した穴を穿孔します。
当然浅い穴ではあまり蛇行しないので、必ず穴径の10倍くらいの穿孔長が指定されています。
カプセルタイプならカプセルが全部入るだけ穿孔すれば錐先が蛇行するのが分かると思います。
ヒルティ製のような二液混合型はどれだけ開けたらいいか分からないので、浅めに開けて
結局効かないと言われる方が結構います。
当店では二液タイプは販売しません。どんな径でも使えるから安いような気がしますが、
実は1箇所単価を計算すると明らかにカプセルタイプのほうが安いし、途中かけの硬化剤が風邪を引くこともないし
確実に必要深さが分かるから、当店はカプセルしか販売しません。


話がそれましたが、シンナーが蒸発して硬化する接着剤は、硬化する時にシンナーが抜ける分だけ容積が減りますが、
ケミカルアンカーは二液が混合すると化学反応を起こして容積が変わらずに硬化します。また、ケミカルアンカーは柔軟性がなく、かなりの硬度があります。
そのため蛇行した穴の形のまま硬化するために抜けなくなります。
ですから、接着効果で持つという考え方ではなく、蛇行形状で固まることによって、向けなくなると言う解釈にしていただきたいと思います。


また、逆に砂利の入っていないモルタルやレンガでは穿孔時蛇行しないので、あまり効きません。


現場のみなさん職人の知恵の一つに加えていただければどうでしょうか。
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