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カーボンブラシ

職人さんが修理を持ち込んできて
「この機械のスイッチが壊れた。」
なんて言われると、スイッチが導通しなくなったと思われがちですが、スイッチが壊れたと言われる大半の方は正しくは”スイッチを入れても起動しない。”という状態です。
修理する者としては、まず点検も兼ねてカーボンをチェックします。
昔はスイッチを入れても起動しない症状の時は70%ぐらいはカーボンブラシの不良でした。
しかし、今は別の原因の方が多くなりました。
理由としては、
1.刃物のコストが安くなって切れない刃物を使わなくなり、モーターの負担が少なくなった。
2.特にモーターの負担が大きい縦切り作業や刻み作業、削り物が少なくなった。
3.機械の多様化により、一つの機械で色々な作業をしなくなった。
この三つの理由が挙げられますが、どれもモーターが無理をしなくなったことには変わりありません。
モーターが無理をすると、カーボン、及びブラシホルダ(カーボンの外側の真鍮部品)が高温になり、カーボンやカーボンのスプリングが焼けてしまいます。
そうすると、カーボンが短くなるだけではなく(カーボンは残り6mmまで使用可能)、カーボンの側面焼けやスプリング焼けによるスプリング切れや焼き戻しによるスプリングの縮みが発生します。
これらもすべてカーボンブラシの不良です。
また、不良のカーボンブラシで作業を続けるとモーターの火花が大きくなり、そのままさらに使用すると、モーターがレヤーショート(モーター焼け)を起こします。
そのために、ちょっとおかしいな?と思ったら、カーボンブラシを点検してください。
もちろん2個ありますから2個とも点検してください。一個だけ悪い時もありますから。
その時カーボンを抜く時きつかった。これは癒着で、異常の一種です。
また入れる時、強く押し込まないと入らなかった。これはブラシホルダの変形です。当然これも異常です。この時はブラシホルダをヤスリで削って修正します。
ヤスリがないときは、カーボンブラシの側面を削って細くして入れる方法もありますが、次回、カーボンを交換する時また入りませんので、ご注意ください。
それとカーボンブラシのモーターにあたる部分を削る方が見えます。これは絶対のしないで下さい。モーターに当たる面積が小さくなるため、回転不良を起こします。
くれぐれもカーボンブラシの点検は使用者自身のための自己管理です。
「道具も腕のうち」大切にしてください。
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