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マグネシウム合金

皆さんはこのタイトルの合金を御存知でしょうか?
その名の通り、マグネシウムを母体とした合金です。
皆さんが一般に使っておられる電動工具や釘打機に使用してある合金はアルミニウム合金です。
この二つは、どう違うのか?
1.当然コストが違います。同じ強度を出すために必要な原価がマグネシウム合金の方が高くなります。
2.同じ嵩(かさ)の場合、アルミニウム合金とマグネシウム合金の重量比は5:3になります。マグネシウム合金の方がかなり軽いんです。
20年以上前、兼松がデュオファスト社と提携していた頃、デュオファスト社のハウジングがマグネシウム合金でした。
しかし、その頃の釘打機はボディの厚みが厚かったため、あまり軽く感じませんでした。
日立工機が数年前から独自に鋳造工場を持っているせいか、このマグネシウム合金を使い始めました。
おかげで日立工機の釘打機の軽量化に成功し、常圧釘打機の売れ行きが他社より伸びてきました。
当然高圧も取り入れました。90mmの釘打機はおかげで日立が一番軽いんです。
しかし、このマグネシウム合金には、原価が高いという以外にもう一つ欠点があります。
それは、鋳造時の縮みがアルミニウム合金よりも大きいことです。
アルミニウム合金は溶けた合金材料を型の中に入れて冷却硬化するときに鋳物よりも縮みが大きいためそれに対応するように50〜100tのプレスを掛けます。
マグネシウム合金も同様に製作しますがアルミニウム合金以上に縮みが大きいため合金の中に”巣篭もり”(真空で亀裂が入っているところ)が
たくさん発生します。(アルミニウム合金も少なからず発生しますがマグネシウム合金ほどではありません。)
特に型の押さえが利かない方向に多く発生します。
釘打機で言うとハンドルの長手方向に多く発生します。
そのためアルミニウム合金でもハンドル部の巣篭もり亀裂によるエア漏れがあるのですが、
マグネシウム合金の場合、亀裂によるエア漏れが多いだけではなく、完全に破損脱落するものもあります。
そのため、新型の高圧釘打機はこのマグネシウム合金をやめてアルミニウム合金に戻しました。
旧型の釘打機も交換修理に時、希望があればアルミニウムタイプに変更できるようにしました。
良かれと思ってやったことなんですが、長い間ユーザーに使っていただくとやっと問題点に気が付くこともあります。
道具の進化はユーザー様の協力が必要です。
これからも御理解と御協力の程、よろしくお願い申し上げます。
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