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番頭のボヤキ

昨年の暮れ、外回りから帰ってくるとウチの番頭が
「たまにしか来ないK大工さんって分かる?」と、訊かれ
「○○町の60歳くらいの人でしょ。」と、答えると
「他の店に修理に出すと断れるような部品補給中止のボード釘打機を持ってきて、気を良く直してあげたのに、怒ってばかりいて・・・。何でこんなに怒られなきゃいけないの!」
(K大工さんは、そんなタイプの方です。)
「文句を言っても通じる相手だから文句言われたんだと思って諦めな。他の販売店だったら文句言っても無駄だと思うから言わないでしょ。」
ウチの番頭、理解は出来ているんですが、ムシが収まらない様子。


歳は変わって、3日前にそのK大工さんが同じ釘打機を持ってまた来店されました。
「まぁはい(三河弁で”もうこんなに早く”)壊れたぞ!」
すると番頭が、
「しばらくお待ち下さい。今から確認します。」
バラしてみるとヘッド(床を打つ時一番上の部分)が完全に割れています。
「○○さん、ここ(ヘッドを指差しながら)が割れています。落したか、ぶつかったんだと思います。」
「そんなわけない!」
「でも、自然に割れるところではありませんから・・・。部品は取り寄せになりますので、明日午後の修理完了になります。」
「分かった。他の釘打機でやるから、置いていくわ。」
前回もこんな調子だったんでしょう。
すると番頭がいない時にまたK大工さんが別のボード釘打機(MAXのCA330A)を持って来店されました。
「別の釘打機でやろうと思ったら今度は釘が引っかかったのでピストンを奥に入れたらピストンが出なくなちゃった。何でこう続けて壊れるんだ!」
「申し訳ございませんが、バラす前に言っておきますが、この釘打機は数年前に部品補給中止になっておりますので、部品交換が必要な場合は直らないと思ってください。」
「何で!そんなに大工をいじめるなよ!」
「メーカーも製造していない部品をいつまでも生産するのは採算が合わないので、基本7〜8年で部品の生産を打ち切ります。申し訳ございませんがご理解願います。」
「しょうがないなぁ、分かったよ。」
とりあえず中を確認すると、ピストンのドライバ(釘を押し込む部分)が下から15mmのところで折れていました。
「完全にピストンの先端が折れています。」
「何とかならんのか!」
「ちょっと待ってください。交換する部品が中古でも良いですか?」
「それで直せ!」
「一応修理不能品があると思いますが、しばらくお待ち下さい。。。。。。ありました!これで良いですか?」
「あるじゃん。OK!OK!」
修理不能品から使えるピストンを取り出しK大工さんの釘打機に入れながら、
「この前ウチの番頭が『修理しただけなのにK大工さんに怒られっぱなしで・・・』ってボヤキまくっていたんですけど、K大工さんは怒っているんじゃなくてボヤいているんですよね〜」
「オレは怒ってないよ。ボヤいているだけ。怒ってない、怒ってない。ただ、ここぐらいしか直してくれるところがないから来たんだけど。」
「ですよね。でも、言われた側は怒られたように錯覚していますので・・・。」
やっぱりウチの番頭、この辺の修行が足らないようです。
怒る価値のある人、怒る価値のない人。
ボヤいても良い人、ボヤいたらいけない人。
どちらがいいか、皆さんもお考え下さい。


話を戻しますが、K大工さんに
「新品の部品交換修理ですと10000円ほどしますが、中古部品ですので3000円下さい。」
「ごめん、今日お金忘れたから明日持ってくるわ。」
と、いうことで翌日K大工さん3000円を持って来店されました。
「お金払って行くわ。ありがとう。」
何もボヤかずに笑顔で帰って行かれました。そして番頭に、
「今日、K大工さんおとなしかったでしょ?」
「はい。」
「昨日、以前怒っていた件、話して置いたから。」
番頭の顔が少し緩んだように見えました。
それではまた。
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