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指金(さしがね)

昨日、こんな電話がありました。
「さしがねで、妻手が5分で長手が4分8厘のものがありますか?」
「えっ?そんなものは聞いたことがありません。」
「俺が昔から使っていたさしがねは、そうなっておる。カマの墨付けをするときにオスは4分8厘で墨を付けて、メスは5分で墨を付けるためだ。今はないのか?」
「一応、今あるものを測ってみます。・・・・やっぱり長手・妻手両方共15mmで幅違いのものはないと思います。他の大工さんは墨残し・墨落としで処理されていると思いますが・・・。」
「今、職人の頭が墨付けしても、別の職人が穴を彫る時、さしがねで墨を変えないと調子が悪い。さしがねを造っている者は何も考えていないのか?」
「いや〜。今、墨付けする人はほとんどいませんから、さしがねを作る人はそこまで考えていないでしょう。」


電話終了後、こんな会話を隣で聞いていた元大工さんが、
「面白い大工さんだね。普通は大工だったら墨を落すか残すかで加減が出来ると思うんだけど・・・。」
「でも、今まで一人で墨付けして、一人で穴を彫っていた職人さんのところに今月入ったばかりの1年生が穴を彫るから、こうなったと思いますよ。」
「ふ〜ん。でも昔のさしがねは2枚合わせると目盛りの伸びがあったので、いい加減なもんだったんだけど・・・。」
「あっ!それは、かなり昔のさしがねですね。今から40年ほど前に永六輔さんが『大工さんには寸目は絶対必要だ』と訴えてから条件付で寸目のさしがねが認められるようになったのですが、それまでは寸の基準が明確ではなかったためメーカーによってばらつきがありました。」
(それまでのさしがねは1820mmが1間が基準でした。条件付で認められたのはm換算が簡単に出来るように1寸=1/33mにしたため、実際の1寸との誤差があります。)
「そうだったのか。」
でも、未だに住宅のモジュールは910mmが多いですね。
以前、ある大工さんに紹介した基礎屋さんが作った基礎の上に手刻みの土台を伏せたら、
「5間で1cm近く基礎と土台がズレてしまった。どうしてだ?」
とのお嘆き。
(本来なら基礎屋さんにボヤくはずなんですが、直前にこの大工さんが基礎屋さんの息子さんの自宅の新築工事をしたので、クレームを付けられず)
大工は手刻みの場合、いつもさしがねで間竿を作っているため1間=1818㎜なんですが、
実はこの基礎屋さんの持っている鋼製金型がNSP製で型がスライド式ではなく
120巾の基礎の時にスライドしなくても入隅型と出隅型が丁度120巾でピッタリ仕上がる寸法になっていて、
基礎図は1間=1818mmで大工さんがCADで書いたんですが、微妙に縮めるのが面倒でそのまま910モジュールで作ってしまったようで、
この話を大工さんにしたら、納得していました。
参考アドレスNSP http://www.nsp-j.jp/katawaku_nsp/nsp_katawaku.html
それではまた。
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