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五つの「きく」その4

昔から「大工の仕事に同じ仕事は二つとしてない。」なんてことを言います。
家は一軒一軒すべて間取りも広さも違えば、素材、構造も違います。
同じものをコツコツ作っていく職人さんはそれはそれで奥も深く苦労があると思いますが、
毎回異なっていくものを作っていく職人さんには、応用力というものが不可欠です。
いくら親方の教えを自分の力としても、それを活かさなければ意味がありません。


そこで四つ目の”きく”です。
漢字で書くと
利く
ちなみにこの字の語源は
禾(のぎへん)=穀の略字(農作物を表す意) 
リ(りっとう)=刀(ここでは農作物を刈り取る鎌やナタの意)
”利”=農作物を刈り取る=育てたものが活用できる=機能する
いうことです。
物を見極める力のあることを「目が利く。」といいます。
嗅覚が鋭い事を「鼻が利く。」といいます。
人に気遣いのできる人のことを「気が利く。」といいます。
小さい子が言葉をしゃべると「口が利く。」なんていいますが、このことから「お利口」という言葉になったようです。
他にも「右利き」「左利き」「利き腕」なんて言葉がありますが、
職人さんは仕事ができることを「腕利き」といいます。
ここで言う「腕」というのは「技術」のことです。
「利く」というのは「機能する」と言う意味ですから、
要するに「腕利き」=「技術が機能する」と言うことです。
大工さんの技術というものは、親方のみならず一緒に仕事をした職人さんやお施主様などの教えや体験に
自らの創意工夫を加えたものです。
腕利きと言われるためにはそういったことが機能することなんです。
ここまで来たら、親方の手を離れたと言ってもいいんじゃないでしょうか。


しかし、職人さんはここで終わりではありません。

続きは明日の最終回へ続きます。