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五つの「きく」最終回

親方の手を離れても、世間の目から一人前と言われても、職人さんは向上心がなくなってはいけません。
前回も「大工の仕事は二つとして同じ仕事はない。」と書きましたが、
職人さんは毎年ひとつづつ歳を重ねていきますが、お施主様は歳をとらず世代が代わっていきます。
時代も変われば、使う建材も変わり、法律も変われば、流行も変わっていきます。
この時の流れに合わせて、対応する能力が必要となります。
聖徳太子から始まった大工さんの歴史1300年の中に数え切れない職人の技が現存の建築物のなかに有り、
親方から弟子へ伝わった技術も含め、これまでに培われてきたものに加えさらに現在のニーズに合わせて
新たな技術を築くため、職人さんは新しい発見を必要とします。
しかし、一人では限界があります。やっぱり知るは一時の恥、知らぬは一生の恥です。
分からないこと・知らないことは、分かる方に”きく”ことも一つの能力だと思います。
あるいは分からない事をインターネットや図書館で調べることも一つの能力だと思います。
それが最後5番目の”きく”です。
漢字で書くと
訊く
と書きます。意味は質問するとか尋ねると言う意味です。
「分からない事を親方に訊く。」なんて使いますよね。
やっぱり分からないことは分かる人から聞きますから、
その時は、相手が話しやすいように、自分が聞き取りやすいように、相手の正面を向いて
理解して聴いて、それを自分の力に交えて、機能できるようにするんです。


あれっ!!元に戻ってしまいました
そうです。そうなんです。
この五つの”きく”現職中はすべて繰り返すんです。
仕事だけではありません。
親方から弟子へ
先生から生徒へ
親から子へ
ご先祖様から子孫へ
すべてに通じるんじゃないんでしょうか?
教える側、教わる側、この五つの意味を感じて頂けたら、少しは皆さんのお役に立てるんではないかと自負しております。


連続五回のうんちくにお付き合い頂きまして誠にありがとうございました。