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木ねじのお話 その1

今から30年位前にマキタの営業マンが
「これから売れる機械は切ってくっつける機械しか売れなくなる。”削る”とか”加工する”機械は売れなくなる。」
と言っていました。今考えてみると、マルノコ・スライドマルノコ・集塵マルノコは切る機械だし、
コンプレッサーを含む釘打機はくっつける機械です。またインパクトドライバーもビスで木をくっつける機械です。
まさにあの時の営業マンの言ったとおりになってしまいました。
今日はそのビスのお話をします。
私がこの業界に入ったころ、まだインパクトドライバーはおろか、クラッチ式の充電ドリルもありませんでした。
あったのはマキタのユニドリル6000Rと電気ドライバーでトルククラッチ式の6700シリーズとクッションクラッチの6800シリーズだけでした。
(同等の日立製品もありましたが、このころはマキタの方が一般的でした。)
今、この機械で木ねじを締めようとしたら「アホか!」と言われそうなものばかりです。
当時はコーススレッドも万能ビス(内装ビス)もありません。
バカ穴を開けて締めるタッピングビスか、正式名称を「木ねじ」という軟鉄製の半ねじのビスだけでした。
タッピングビスは現在のコーススレッドと同じ硬鉄製です。
今では分かっている方がほとんどですが、当時は全ネジのタッピングビスを使うと
「寄らん。」「木がくっ付かん。」
と言われ、
「これは全ネジですから手前の材料にもネジが効いてしまうのでいくら締めこんでも手前の材料と奥の材料は寄りません。」
「全ネジならよく締まるんじゃないのか。」
とにかく昔の職人さんは理論でものを言いません。見た目と結果でものを言われます。
「寄せる場合は、必ずバカ穴を開けてから使ってください。」
「そんなの面倒くさい!」
「だったら半ねじの木ねじを使ってください。」
「何だそれは?」
見本を見せて
「ふ〜ん。使ってみるわ。」
でも、この時代はインパクトドライバーというものがありませんでしたから問題ないのですが、軟鉄のねじは14.4Vインパクトを使ったら一発で+が空回りします。
そのころからようやく充電ドリルが普及し始めました。
続く
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