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刃が焼けるから切れない?

鉄工ドリルでの穴あけでよく
「刃が焼けるから切れない!」
ということを聞きますが、自分はこの言い方に対して否定的な考え方をしております。
確かに刃が焼けると焼入れが鈍(なま)って刃が摩耗しやすくなったり、もろくなって刃が欠けやすくなったりすることは認めますが、
ほとんどそんな原因で刃が切れなくなるわけではなく、実際は刃が切れなくなり、その状態のまま刃を滑らし続けた摩擦熱によって
刃が焼けることが多いと思います。
焼け止めに切削油を使われる方が見えますが、自分は使ったことがありません。
常に削り屑が出続けていれば、そんなに刃が熱くなることはありません。
少し切れなくなると、熱くなりますが、その前に切れ味が悪くなりますので、研磨します。
ですから、常に切れる状態なので、切削油は必要がありません。
電気ドリルを手で持って10mm厚の軟鉄に直径10mmの穴を開けると数個開けただけで切れなくなって、
刃がひどくつぶれていることがありますが、ボール盤で開けると100個くらいは開きます。
この違いは、切れていない時間の長さの差だと思っております。
刃物は切れているときよりも切れずに滑っている時の方が、はるかに刃が潰れやすいと思っております。
ボール盤で開けるとうまく開ける方は切り屑が繋がって出てきます。
電気ドリルで開けると最初、は逆円錐型に開いているうちは切り屑が出ますが、
刃の外周が当たると穿孔しているのか、していないのか分からないようになって、(このときには刃の摩耗が進んでいます)
穿孔していないのを確認すると加圧を上げ少し削り屑が出ますが、
疲れて押さえが甘くなってきます。(このとき、さらに刃が摩耗します)
穿孔していないのに気が付いて再度押さえを強くしても、この時すでに刃がかなり摩耗しているために、
なかなか開きません。
この状態から回転力で開けようなんて思ったら最悪!
刃がすべるだけで、摩擦熱で刃が焼けて
「刃が焼けたから切れん!」
と、叫んでしまいますが、実際は
”刃が切れないから焼けた”
状態になっていると思います。
皆さんはどう思われるでしょうか?
それではまた。
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