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頑固と言われても曲げない

昔から鉄工ドリルは
「刃が焼けたから切れない!」
と言われますが個人的に、この表現は認めません。
もし刃が焼けたから切れないとすると
刃がまだ切れる状態の時に刃が高温になって、鈍ったために刃が摩耗したことになります。
でも刃が切れている時に、刃が赤くなるほど焼けるでしょうか?
確かに切削中に刃先は高温になりますが、対象物に密着しているため、刃先が赤くなるほど高温になることは少ないと思います。
「刃が焼けたから切れない!」と言われるケースのほとんどは加圧不十分のために刃先が対象物に食い込まず
削り屑をすくい出せないまま、回転させて切削中以上に摩擦熱が発生するのと
切削中は刃元側で切り屑をすくい上げているため、刃先の摩耗が少ないですが
切り屑が出ない時は刃先だけを摩耗させてしまいます。
ですから、自分の言い方では「刃が切れなくなったから焼けた。」になります。
「刃が焼けた状態になっているから刃が切れなくなった状態になった。」と言う意味の「刃が焼けたから切れない!」と解釈もできますが、
「刃が焼けたから切れない!」を聞いた方はそうは思わないでしょう。焼けたことが切れない原因と思うでしょう。


その昔、丸仲がスライダー式の超仕上鉋を発売したころ、
「材料が背中を擦らないから、刃持ちがよい。」
と言われました。
当時は、よく分かりませんでしたが、今になって考えてみると刃の摩耗した超仕上の刃を見ると刃先が丸くなっているのではなく
刃の上を材料が擦ったために平面摩耗しています。これは手鉋でも同様だと思います。

と言うことは背中を擦ると刃持ちが悪いと言うことになります。


そもそも、この話の根源は父の指導に始まっています。
手鋸の目立てをするときに、ヤスリで確実に切りくずを出す時はヤスリの刃持ちが良いですが
加圧不十分で滑っている時は、ヤスリがすぐに使えなくなります。
ヤスリが滑っているときは音が全然違うので、
「ヤスリが滑っとる!」
と叱られます。
でも、一日中いい音を出し続けるのは、かなりしんどいですよ。