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刃持ち その2

昨日のL鋼をカットした際810mmのうち

600mmほど切ったところが刃物の限界だった。

超硬の刃先が丸くなったのではなく

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完全に上目部分がなくなっていた。

鉄工の穴開けをするとドリルが切れなくなった時点で

「刃が焼けて切れない。」

と俗に言われるが、今回は刃が焼けてなくても切れない。

切れない理由は刃が摩耗したからである。

鉄工ドリルも切れない時は摩耗したから切れないはずである。

刃が切れなくなると刃先が摩擦で高温になり鉄は酸化するが

超硬は母材が鉄ではなくタングステンなので参加しないので

色が変わらないがおそらく刃先がかなりの高温だったと思われる。

鉄工ドリルも状態が同じであることから刃が焼けたから切れないのではなく

刃が摩耗したから切れないために摩擦で焼けるのだと思う。

ただ、摩擦回避すると刃持ちが極限に上がる。

それは切り込み量を大きく取ることである。

言葉を変えると鉋屑を厚くすること。

鉄工ドリルなら電気ドリルで開けるよりもボール盤で開ける方が

はるかに刃が長持ちする。

出てくる削りくずはボール盤は繋がって出てくるが

電気ドリルだと細かい屑になる。

一回の研磨で穴の開く量は10倍くらい違う。

回転数にも影響する。

「回転が速いと刃が焼ける」

と言われる方が見えるが持論では

速く回すと削り屑が繋がって出ないので刃が滑って刃持ちが悪いと思う。

要するに削り屑を出ている時は刃の摩耗が少なく

切れずに滑っている時は刃が摩耗する。

今回の鉄工用チップソーも木工用のマルノコを使ったが

本来の専用機であるチップソーカッターは回転数が遅い。

回転が遅いと刃先のスリップする量が少ないので刃持ちが良くなる。

 

もっと良い例が目立てやすり。

鉄が母材のヤスリで鉄が母材の鋼を削るわけである。

刃先が歪むほど加圧を掛けながらゆっくり押した方がたくさん削れるが

実はこの方がヤスリの摩耗が少ない。

この方法で削ると刃持ちが10倍くらい変わる。

その代わり体力を様子ので手を抜くとヤスリの持ちが悪いが

音が変わるの親方に叱られます。

ちなみにヤスリで目いっぱい加圧を掛けて削ることを「摺る(する)」と言い

手を抜いて削ることを「擦る(こする)」と言います。

摺る作業が小さいから「小する」が語源かもしれません。

削(そ)ぐ作業も細かいと「こそぐ」と言いますが、こちらの方言でしょうか?

ググってみると漢字表記(刮ぐ)がありました。

他の地区では通じるでしょうか?