当店が創業当時から仲良くお付き合いしていた販売店Aの話である。
距離が離れているのでユーザー様がバッティングすることはなかった。
自分が生まれた頃の話なので、あまり記憶はないが
長野県の手打ち鋸メーカーの保養所へ家族ぐるみで一緒に遊びに行ったことは
よく覚えております。
今は、どちらも先代亡き後、その息子同士が経営者となって現在に至っております。
その販売店Aの先代は、いつも行き合うと必ず声をかけてくださいました。
「おっ!音(目立てのヤスリの音)が良くなったな!」
「あんまり仕事ばっかりじゃだめだぞ。」
「仕事ができて遊びもできて初めて一人前だ。」
色々と噂を聞いていたようです。
相手方の息子さんの方が業界に入るのが遅かったので
照らし合わせたのではないかと思います。
しかし、その販売店Aの先代は60代で急遽され一緒に仕事をされていた
先代の弟さんも独立されて販売店Aの息子さんはやる気満々の奥さんと一緒に
頑張っておられたと言うことを息子さんご本人から伺っていたんですが
それからしばらく行き合うこともなく
ある日突然、その販売店Aの近所の大工Bさんがひょっこり来店されました。
「木工機械の調子が悪くて、古いので新型に替えたいんですが社長がダメって言うに決まっているから、とりあえず直してほしい。」
との内容でしたが、その方は修行先へ大工の見習いに入った年に
私が飛び込み営業に行って、固定定盤自動鉋盤を買って頂いた時の
その機械の操作担当でした。
納品したときに1から10まで説明すると困惑するので
必要最低限の部分だけ説明して、残りの説明は慣れてからするつもりで
1週間後に伺うと
「説明書見て全部わかったから説明しなくていいよ。」
ベテランの大工さんは使い方がなかなか覚えられないけど
若い方は機械の呑み込みが早い。
そんな方だったから機械も最新鋭のものが欲しかったらしい。
「そっちの販売店Aさんにお願いしてください。」
と一度お断りしましたが
「あの販売店Aはやる気がないので頼みたくない。」
「でも、彼は見習い時代、修理もやっておられたので問題ないはずですけど。」
「トシカネさんは良く知っているからお願いします。」
と言うことで、現在も時間を作ってはお伺いしております。
そんな話を各営業マンに振ってみると
その販売店Aは何かと気難しく、いい話を言われない。
独立した弟さんとも絶縁状態らしい。
昨日は、その販売店Aの近所で別の大工Cさんが緊急修理を持ち込んで
その販売店Aの話をしたら
「俺、切られちゃった。」
「販売店が切る?」
「この前トシカネさんと相見積もりしたらトシカネさんの方が安かったので、そっちで買ったって言ったら、これからそっちで買いなって言われちゃった。」
相見積もりって売り手にとっては良いことではないですが、
買い手にとっては必要でしょう。
それと相見積もりで売らない選択もありますが、
売りたくても取れなかったら企業努力が足らないので売り手の責任でしょう。
いつも言いますが企業は社会のために動くもの。
限られた地域で働くものはその地域で、より貢献するものが生き残ります。
それが資本主義の概念です。
我が儘を言っている間があったら、自らを見つめて自分に非がないか?
よく考えてほしいと思います。
特に今回の販売店Aさんはそのお父さんに個人的にお世話になりました。
この声が通じるかどうか分かりませんが、少しでも恩返しをしたいと
思っております。