昨日は硬鋼線のことを書きましたので同様にステンレスのお話をします。
当店のステン羽根定規はバーのみステンレスを使用していますので
ステン羽根定規と呼んでいますが
本来は、汚れ(Stain)と無い(Less)を合わせた造語なので
ステンと略すことは好ましくないですが、そのあたりは大目に見てください。
ステンレスは錆びにくい合金になりますが、母材はほとんど鉄です。
昔から18-8と言われる代表的なSUS304は
鉄に18%のクロムと8%のニッケルの合金なので、こう言われます。
それと母材が鉄なのに18-8が磁石でくっ付かないのは
クロムとニッケルがこれくらいの比率で混ざると分子の構造が
オーステナイトと呼ばれる磁力に反応しない構造になるためらしいです。
そのため燃えた18-8のステンレスの煙突を金属回収業に持っていくと
ステンレスが酸化して磁石がくっつくようになるために
鉄くず料金しかいただけませんのでお気を付け願います。
前置きが長くなりましたが板金屋さんによく言われます。
「ステンレスのテクスはちょっと油断すると刃が止まったり+が舐めやすい。」
と言われますが、これは本当です。
”ステンレス=硬い”
と言うイメージが強いですが、それは普通のステンレスと鉄の比較の話であり
テクス(ドリル付タッピングビス)は鉄に穴を開けるために鉄よりも硬い
硬鋼線にしています。
当然、ステンレスのテクスも硬鋼線にしないといけないんですが
18-8は熱処理をしても硬くならないので別の合金配合にして高度を上げていますが
ステンレスと言う制約があるため鉄の硬鋼線ほど硬くできず
またオーステナイトではないので磁石でくっ付きます。
ですからステンレスのテクスを使う際は鉄の時以上に
回転数を落として+ビットも新品を使ってトラブルのないようにお願いします。
マルチツールやセーバーソーを使う際もステンレスは鉄よりも硬いですが順番を書くと
鉄<18-8ステンレス<ステンレス硬鋼線<鉄の硬鋼線
になりますので、適切な刃物を間違えないでください。