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金物の足し算について

先日、h168さまからこんなコメントを頂きました。(抜粋)
h168さま 2013/03/20 12:26
「設計さんが20KNはビス金物でと。
馴染みの金物屋へいきましたが、予想通りの存在すら知りませんでした。
ここまでは想定内でしたが、取り寄せを頼んでも取り寄せしようとしません。
他に使う人がいないからハケないと。
ならホールダウンより楽なんだからこれから勧めたらと言いました・・・残念です。
他で探します。」

toshikane 2013/03/20 12:46
「h168さま
オメガコーナー20KNの在庫があるところはなかなか見つからないと思います。
それよりも10KNの金物(「へ」)のビス止めを2個付ければ10+10=20KNで合法になります。
ただ、設計士がこれを知っているか・・・?」

h168さま 2013/03/20 18:30
「ありがとうございます。でも設計士さんにはあっさりと却下されました(笑)」


実は財団法人日本住宅・木材技術センターの金物の使い方のQ&Aでこの件が紹介されています。
引用アドレスhttp://www.howtec.or.jp/gov/kaisei/kouzoukeikakuqa.pdfこのPDFの「Q4-22」を参照
質問「柱頭・柱脚金物を選定する際、足し算しても良いか? 例えば、35kN必要な柱頭・柱脚接合部に、25kNのホールダウン金物+10kNのL形金物で25+10=35kNと見なせるか。」
回答「足し算することは可能です。ただし、ご質問の例にあるような異なった種類の金物を組み合わせた場合には、想定される耐力が確保できない場合もあります。この場合は実験で確認の上、使うことをお奨めします。」
と、言うことから日本住宅・木材技術センターは認めています。


但しかなり以前にこの件である金物メーカーの研究室の問い合わせました。
「金物を一箇所に複数付ける場合、足し算は認められますか?」
その件で専門の方から頂いた回答が、
「一応、日本住宅・木材技術センターは認めております。但し当社で計測した結果、複数の金物を付けると足し算の合計よりは若干数値が落ちる結果が出ております。ですから、そのことを考慮の上で複数の金物を付けていただきたいです。」
と、のことでありました。
また、その理由の一つに地震で揺れる時に金物が複数だと一つづつ緩む現象が発生することも要因の一つのようです。
向かい合う面に付けると、より効果が落ちるという逆説でもあるようです。意外なお話を頂きました。
くれぐれも”金物の足し算は絶対ではない”との結論と言うことのようです。


逆に足し算の場合、数値が上がることがあります。
たとえば10KNの金物のホールダウンコーナー10KNの場合

http://www.tanakanet.jp/contents/product/hasirasetu/has61ct.html
こちらのサイトの右上に「短期許容引張耐力13.5KN」の表記があります。
この表記は財団法人日本住宅・木材技術センターが認めた数値です。
「へ」の表記は10KN以上の耐力がありますと言う意味です。
そのため足し算で計算する時はこの数値を合計します。
この金物を2つ付けると13.5KNx2個=27KNになります。
と言うことは、20KNで使う「ち」ではなく、「り」になります。
筋交いや耐力壁は規定よりも大きいものを勝手に付けることは出来ませんが、
金物は規定よりも大きいものをつけることは認められています。
そのため場合によっては2個付けの方が数値が大きくなる場合がありますが、数値上、小さくなることはありません。

それではどうして金物が必要か?明日に続きます。
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