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消えていく4分ボルト

先日、久しぶりに建前で使う4分ボルトの注文を頂きました。

最近は全く売れなくなりましたので、在庫が歯抜けになってもそのままの状態。
これから順次整理していくつもりです。
4分ボルトは現在主流の通称ミリネジのZボルト(M12)ではなく、通称インチネジのW1/2のボルトになります。
このボルトはZボルトよりもネジ部が少し太く、ねじ山も粗く大きいため、恐らく保持力も強いと思いますが、
インチネジは国際規格(ISO)や日本工業規格(JIS)ではないため、公式認定が受けられず、今から30年くらい前から順次Zボルトに変わりました。
現在のボルトはZボルトも4分ボルトも太さ11mmの磨き棒鋼を加工して作られていますが、
それ以前は太さ13mmの丸鋼を加工して作られていました。
丸鋼の方が、磨き棒鋼よりも鉄が軟らかく粘りがあり、曲がりやすいが折れにくい特徴もあり、ダイスでネジを切る時に切りやすく刃持ちも良くなります。
しかし、そのボルトが出回っていたのは、ほんの一時で、それ以前は黒皮ボルトでした。
黒皮ボルトはメッキもせず、素材の丸鋼そのものを火作り加工で片側を六角にして、反対側をダイスでネジを切っただけのものでした。
何せメッキが掛かっておりませんので、注文で出す時は手袋を真っ黒けにして出したものです。
でもそれ以上に、当時の大工さんは構造材をところどころ汚しながら、ボルトを締めていたはずです。
メッキのボルトが発売された頃はボルト価格の差が3割くらい(対Zボルト)ありましたので、購入される側はかなり抵抗があったようですが、
一度メッキを使うと二度と黒皮ボルトを使うことは、なかったと思います。
でも、黒皮ボルトは太く折れにくくナットも大きく、それ以上にナットが錆びて緩みにくい利点がありました。
実際に見たことがありませんが、緩み止めに塩を使った親方が居たとか。
それと、黒皮ボルトは今では考えられないことが一つありました。
それは、1本いくらではなく、1kgいくら?と言う釘と同じ計り売りでした。
でも、黒皮ボルトは一番短いボルトが6寸までしかなく、
それ以下は当時「取り付けボルト」と呼ばれていました現在の4分ボルトのメッキのしていないボルトで、
そのボルトに付いては1kgいくらの設定ではなく、1本いくらの設定のため、伝票処理が少しややこしい昔話でした。
それではまた。
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