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今昔物語

この日は朝の10時の休憩中の現場に伺いました。
現場の一服に居合わせた大工さんは転職で見習い中の20代の子と大ベテランの大工さん。
「お茶飲んでいってよ。」
の言葉に誘われて、一緒に休憩。
大ベテランの大工さんが
インパクトは直ぐに壊れる。」(ベテラン)
「それはエアインパクトドライバーのことですよね。」
「そうだ。それからコンプレッサーも直ぐに壊れる。」(ベテラン)
「だからウチはエアインパクトドライバーをできるだけ売らないようにしています。」
「何であんなに壊れるものを作るだん?」(ベテラン)
「だからウチは売らないようにしています。」
「コンプレッサーも昔は長持ちしたのに、今のコンプレッサーは全然持たん。」(ベテラン)
「それは常圧だから長持ちしますが、今のコンプレッサーは高圧だから長持ちしません。」
とにかく当店で取引の無い大工さんなのにクレームを付けてもぬかに釘の販売店で買っていますので、
クレームを言いやすい販売店は、どうもクレームを付けやすいようです。
でも、若い見習いの子にも分かる話に振らないといけないので、
「今は高圧コンプレッサーしか売れなくなったし、釘打機も高圧ばかり売れているけど決して高圧しか世の中が使わなくなったわけではないです。」
「えっ」(見習い)
「高圧の釘打機は寿命が短く、所持率も低いので良く売れますが、常圧は所持率が高く、故障頻度も少ないので、売れません。」
「そういうことか・・・。」(見習い)
「だから、”売れている=使われている”と、誤認識をしそうですが、そうとは限らないと言うことです。」
「昔は天井に向けて釘を打ったもんだ。あれはエラかったなぁ〜。」(ベテラン)
「今はその点、楽になりましたね。でも釘打機の出始めはなかなか普及しませんでした。最初に普及したのは野地板打ちなんですが、昔は野地打ちは親戚近所一同の仕事。釘打機を導入すると、『彼らの仕事がなくなっちゃう。』なんて言われましたから。」
「そうだ、昔は建前に親戚が多いと30人くらいでお祭のようにやっていた。今は、そんなことをしたら事故が起きた時大変なことになっちゃうよ。」(ベテラン)
「へ〜そうなんだ。」(見習い)
「それよりも当時の人工(にんく)今のことを思うと物価に比べて、メチャクチャ安かったですよね〜。」
(笑いながら)「そうだ。今の子には分らんだろ。」(ベテラン)
「車が年収で買えなかったですよね。」
「2年分くらいかな。」(ベテラン)


と、こんな話をダラダラしていましたが、自分が思っている以上に若い大工さんたちには今から40年前の低賃金時代のことが理解できていないようです。
確かに他のサラリーマンと比べ賃金が安いのは事実ですが、低賃金時代は大工さんよりサラリーマンの方がもっと安かったようです。
ベテランの大工さんの技術だけでなく過去の経験もこれからの若い大工さんに受け継がないと、貴重な体験談が消えてしまいます。
未来を見据える前に、”過去があって、今がある。”その延長に未来がある。
先のことは分りませんが、今後、知っている範囲で昔の話をUPしてみたいと思います。
若い大工さんにお願いです。
ベテランの大工さんの昔話が聞けるのは今だけです。
正面を向いてしっかり聞いてあげて下さい。
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