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今昔物語(マルノコ編3)

造作マルノコの発売当初は平行定規の挿し口が前だけの1箇所だけでした。
当時の大工さんからは
「小穴カッターのように2本挿しの定規にして欲しい。」
の要望から、日立は初めて2本挿しの定規対応の造作マルノコを発売しました。
ところがここでケチが付いたんですね。
当時はMDFなんてほとんどありませんでした。
枠材は無垢、造作材は素材から加工が主流です。
挽き割をすれば、大半の素材は挽いた後の部分が開きます。
ここまでは日立工機は計算の上でした。しかし詰めが甘く、ここで見切り発進をしてしまいました。
無垢を割るために2本挿しの平行定規を平らにせず、挽いた後、材料が開いてもいいように、後半を逃がす形状でした。
しかし、この形状は平行定規を右から挿す上での設計でした。

最初に入荷した時に気が付きましたので、当店としては定規を裏返しにして、
左から挿した時に使いやすい形状に変更してから販売しておりました。
実際に右から挿して使っている人はほとんど居ないはずです。
でも、未だにタジマもシンワマルノコに平行定規を挿している写真はありえない右挿しになっています。
理由は、メーカーが分っていないのではなく、左から挿すと、平行定規が分りにくいのが理由だと思うのですが、
マルノコを使わず、写真だけを見た人は、右挿しが普通と思うでしょう。
その後マキタが後を追うように、2本挿し定規タイプの精密マルノコを発売しました。

この2本挿しは左右兼用にするため。定規面が半分しかなく、ネジを緩めて前後に移動できるようになっていました。
クレームを受けた日立は定規を平らに削ってその上に長さが半分のプレートを前でも後ろでも取り付け可能にして
前に付けると右挿し、後ろに付けると左挿し、付けないと新建材用と3通りの使い方が出来る方式に変更しました。
ここでリョービも黙っていません。
リョービの2本挿し定規はあえて段差は設けず、フラットにして必要に応じて当て木をする方式にしました。
フラットの場合、合板や新建材の場合使いやすくなります。
またリョービがはじめて定規を薄く作りました。
下板に当たらないステン羽根定規の考え方もここから来ています。
日立は左挿しでは使えなかった問題点を克服するために定規を平らに削って、プレートを追加し左右兼用にしました。

あくまでも、この図はうろ覚えで描きましたが、
実際の定規を見たらプレートは左挿し側にはプレートが付くようにはなっておりませんでした。
ご了承願います。
結局、電動工具の製造側は定規を右から挿して使うことが普通だと思っているようです。
これはシンワやタジマも同様でした。
続く
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