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厳しい現実

昨年、急逝された大工さんの作業場を一緒に片づけた大工さんから電話があった。


「この前、引き取った超仕上っていくらぐらい?」
「今、超仕上って評価が低くて、鉄くずに少し上乗せする程度しかならないよ。」
「えーっどうして?」
「今、削り物ってないでしょ。でも固定定盤のような機械はモノがないので高価なんだけど。別の大工さんも持っていったけど、その支払いは?」
「まだ、どちらも決めていないし、亡くなった大工さんの奥さんからは『片づけてほしい』と言われただけだから。」
「だったら割り切って木材は謝礼程度の金額に+超仕上の数万円+もう一人持って行かれたの大工さん金額でOKですよ。」
「マジでー。100万円くらい払うつもりだったのに・・・。」
「そんなに払って採算が合いますか?木材は材木屋さんから買うのとは条件が違います。運搬もこちら、保証はなし、不要な分までならともかく、完全なゴミまで持ってきたでしょ。だったら使えるものでも評価は1/3くらいですよ。」
「今日、支払いに行く気満々だったけど、予定額変更するわ・・・。利兼に電話して良かった。」
最後にありがたいご返事を頂きました。


日本中に亡くなられた大工さんの仕事上の遺品は、まだまだ世の中にたくさん残っています。
気前よく処分出来れば良いですが、残された奥さんの希望額が高めの設定だとなかなか処分できずに放置され
奥さんが亡くなるとお金を払って処分業者に倉庫ごと一式取り壊すケースになるようです。
ヤフオクで遺品を処分するケースもあるようですが、意外に手間がかかって
お金になっても採算が合わないケースが多いと思います。
木材は古くなれば、価値も下がるし、時代背景も変わって使わなくなります。
機械道具も、古くなれば錆びたり、経年劣化あるいは部品補給中止により価値がなくなります。
亡くなられた大工さんの道具や木材を有効活用するためには、売り手も買い手も迅速に動いてほしいものです。
そのためにも、売り手と買い手が厳しい現実を理解することから始めてください。