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刃物の話(鋸の横目)

先日の切断砥石の時に鉄を切断する時、砥石の厚みの溝を削って切断すると書きましたが、
チップソーで木を切るときも同様に鋸身の溝を突いて木を切断します。
「切断」というと横切りのことを特定しますが、縦挽きも場合でも同様に鋸身の溝を突いて挽き割ります。
ところが手鋸の場合は縦挽きは同様なんですが、横引きの場合は溝を突きません。

横目の刃先は鋸身の両端を毛引いているだけです。
そのために木口が綺麗に切れるわけですが、鋸身の中央部は短い繊維の集合体なので、
何もしなくても勝手に鋸に掃かれます。


その昔、父と一緒に仕事をしていた時に、あるお客様が来店され
「乾いた樫の木を切るのにどんな鋸でもうまく切れんけど・・・。」
父は、すかさず
「八寸の縦挽きで切って!」
お客様不思議そうな顔をして要らなくなった鉋の台を八寸の縦目で切ってみる。
「ホントだ切れる。ありがとう。」
当時はそんなものか!と、しか思っていなったが、最近意味が分かった。
樫のような乾いた広葉樹は隣同士の繊維の結びつきが強いので横目で筋を入れても繊維がバラけないので
うまく切れないようである。
例えば乾いた針葉樹を作業台の上で5mmくらい捨て切りすると落ちた木っ端は木っ端微塵になる。(これが語源か?)
しかし、広葉樹を同様に切ると、隣り合う繊維同士の結びつきが強いために木っ端微塵にはならない。
そこで8寸の縦挽きを使う。
8寸鋸には意味があって、尺鋸では粗すぎる。9寸でもまだ粗い。7寸くらいがベストのようであるが
7寸鋸は昔でも普及率が低いので一般に使う8寸鋸と言ったのであろう。
それと8寸の縦挽きは使用量が少ないので、横目が潰れていても縦目は切れる。
現実問題として現在チップソーで横引きしていますが刃の形状は、ほぼ縦目です。
それではまた。