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先週の解答(ブラシレスモーター編)

先週の問題の解答です。


先週の問題は
このBLモーターいったいどんな原理なのでしょうか?
どうして、電気ロスが少ないのでしょうか?

でした。
ちょっと難しい問題で申し訳ないと思っていますが、このモーターは電動工具の歴史における次世代のモーターです。
これは電動工具を扱う人にとって重要なことなので、少しは皆さんに理解して頂きたく問題に致しました。


電動工具は基本的に手で持って使う機械、あるいは使う時に手で使用するところまで運んで、終わったら片付ける機械です。
そのため、重量や電源に制限があります。
要するに今後の電動工具には限られた電源条件の中で、いかに使用者の希望の能力の中で使いやすくするかがカギとなります。
パワーがあって軽くすると言う相反する二つの条件をどうやったら満たせるかということになります。


ブラシレスモーターというのはその条件を満たすことができる次世代のモーターなんです。
木工機械のように重量は重く出てもかまわないものは三相モーターを使います。
通称動力モーターというぐらいですから1馬力を超える能力を必要とする場合三相200Vのモーターを使います。
なぜ三相モーターを使うかと申しますと能率(エネルギー変換効率)が約80%だからです。
能率と言うのは100あったエネルギーをどれだけ運動エネルギーに換えたかということです。
ちなみに単相100Vのモーターが50%、カーボンモーターが50%です。
電動工具は100Vの電源にプラグ(プラグは上限15A)を使っていますので、
100Vx15Ax50%=750W=1馬力 これが上限です。
これを同じ電気量で三相200Vにすると
200Vx7.5Ax80%=1200W=1.6馬力 と、なり明らかに省エネです。
問題のブラシレスモーターは能率が70〜80%と言われております。
当然、三相モーターのように省エネですからいいに決まってます。


さて原理なんですが、基本的に三相モーターと同じです。
分かりやすく図を書くといいんですが、ちょっと時間が懸かりそうですので今回は割愛させていただきます。
たとえて申しますと、競輪の自転車のペダルを想像してください。
単相モーターは磁石で反発及び吸着する力をペダルのようにして回転運動に換えています。
自転車のペダルは最上点と最下点はあまり力が入りません。
もしあなたの足が3本あったら、ペダルが120度づつ変えた3本ペダルになります。
(ここで、オレは脚が3本あるという下ネタは突っ込まないでください。)
そうすると、常にペダルが漕ぎやすい位置になるため、もっと楽になります。
人間の脚が楽なら、モーターも同じです。
三相モーターは120度づつ、ずらした3組のコイルで回転しています。
ブラシレスモーターもこれと同じ原理で回しています。
(但し直流で制御するためコイルが6組あります。)
さらに、回転軸にコイルがいらないので(永久磁石を使用)重量も軽くできます。
また、能率がいいということは、ロスした電気が少ないと言うことです。
電気はロスした分、熱エネルギーに換わります。
そのため、モーターが熱くなりません。


いいこと尽くめのお話をしましたが、まだ充電インパクトドライバーとコンプレッサーしか使われていません。
これ以外の機種に転用するためには、まだまだ、コストや過負荷の問題をクリアしないと実用化は難しいようです。
これを今後の宿題として本日の締めとさせて頂きます。