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言葉が出てこない

職人さんの若手が激減して数十年経過してしまいました。
現在、現役大工さん60歳以上が全体の1/3とも言われています。
50代前半なら若手と言われそうな状況なんですが、
サラリーマンなら定年世代の職人さん抜きで現在の建築業界は賄えません。
この世代の方はITとは無縁のなかで育っておられますので、会って話をするか、電話がメインとなります。
目の前で話をするときは顔色や身振り手振りである程度理解できますし、
カタログや図を描いて説明できますが、電話では理解していただくのに制限があります。
特に自分もそろそろ仲間入りさせていただきますが、電話の会話の中で肝心な言葉がなかなか出てこない。
この業界に入ったころは電話をする前に必要なデータを揃えてから電話するように教育されたんですが、
年配の方は電話をすることが優先されるので、話の内容の整理は二の次のような気がする。


「トシカネです!」
「○○だ。えーっと、あのあの・・・・あの何だ。」
「(プレッシャーをかけないように)ハイ。」
「アングルの金具あるか?」(アングルは、色々な向きの勝手があるから一番厄介なんですね。)
「平の鉄板の中央で90度に折り曲げたものですか?」(正確に聞かないと確認ができませんが、こんな尋ね方をするとは予期していませんから面食らうでしょう。)
「違う。真ん中じゃなくて片方が短くて片方が長いヤツあるか?」(おそらく不等辺金折だと思いますが)
「そのようなものの在庫はございません。」
「ないのか?昔使ったぞ。」(たぶん”在庫”の部分を聞きのがしたのでしょう)
「とにかく、取り寄せになりますが、思惑と違うと面倒なので資料をお持ちします。」
結局、電話では要件が片付きません。


でも、これが正確に電話で伝えられるスキルがあるとしたら、個人店の価値が薄れます。
ネットや量販店ではお願いできないからこそ、当店のような個人店にお願いしていただけるお客様になります。
同様に個人で請負をなされている建築業者様方でも同様で、ハウスメーカーや現場を知らない営業では伝えられないような
年配のお客様は面倒だとは思いますが、だからこそ個人での業務の価値観があると思います。
面倒な部分にも勝機があります。
面倒な分、値切られる部分は少ないと思います。


頭の隅にでも入れておいてください。