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規制緩和してはいけない その1

先日、年配の大工さんが見えてマキタの充電式の卓上マルノコを見ながら
「これ持ってる。それからウニュニュニュニュって切ってく機械(マルチツールのようです)も持ってる。」
「えっ?!」
「社長がくれた。」
「はっ?!」
「今、行っているリフォーム会社の社長が職人の数だけまとめて買ってきて、みんなに配ってる。」
「日当も安くないよ。」
「それは高待遇ですね。」
「その代わり、週に2〜3日仕事がないけど。」
どうやら、日にちや時間指定のリフォーム専門のようである。
日当はいいが、月収は安い。子育てとは縁のない60代の大工さんなら好条件とも言えるがちょっと伺ってみた。
「こんなことを聞くのは失礼ですが、大工さん、今いくつ?」
「74歳。」
「えー!見えない。」
「うん、みんなに言われる。この前も『65歳くらい?』って言われたので『ありがと。』って答えておいた。」
職人さんの人口は廃業された方も含めると60代よりも70代の方が多い。
現在は、職人さん不足のため、まだ現役並みに働ける60代の職人さんは十分な戦力として現場で活躍されている。
体力の落ちている70代の働ける大工さんは、技術と経験の必要なリフォーム(三河では”ごそ”と言います)なら
十分活躍できると思います。
でも、これは今現在の話。
5年後には今の70代は、ほとんど廃業される。
現役の60代の半数は、廃業される。
大工さんの場合60歳以上が全体の4割くらいと言われています。
建具職人に限っては60歳以上が7割以上と言われています。
これでは、今後の建築工事を担う職人さんが足りなくなります。
これで一番困るのは、お施主様ではなく、建築請負業。
でも、どんなに職人さんが減っても下請けと元請けの上下関係を変えないために元請けは
職人さんを勧誘するとき
「(単価は安いけど)仕事はいくらでもある。」(隠れた言葉を理解しないと惹かれてしまいます。)
だいたい先のことなんて分かるはずがありません。
なのに「仕事はいくらでもある。」と言った時点で信憑(しんぴょう)性に欠けます。
逆に仕事が減ってくると、職人さんをカットするために単価を下げて、職人さんを減らす会社もあると言う噂もあります。
製造業とその下請けとの間では普通に行われていることで、
製造業の下請けはパート社員や個人下請けを使って安い手間でもやりくりできますが、
高い技術を持つ職人さんの賃金が経費を差し引くとアルバイト並みでは困ります。


この対策として業界大手のI工務店が、かなり前からフィリピンの研修生を3年契約で大工工事をさせています。
建て方オンリーで大工の先生が付いての作業ですが、お施主様は、どう思われているんでしょうか?
続く。