PVアクセスランキング にほんブログ村

改めて常傭(じょうよう)その2

昨日のことを踏まえて、
当時の大工さんは、ほとんど”1日いくら”の日当を頂いていた。
お施主様の資金が途中でなくなると
「大工さん、ゴメン。お金がなくなったので、畑のものが売れるまで仕事を待ってくれ。」
なんて言うことも、よくあったようだ。
施主は、継続的に日当を払っているから、この職務体系を「常傭」と呼ぶ。
現在、応援の大工さんに支払う賃金は、日本語的な解釈からすると「日当」だと思う。
土木作業員も「日当」と言うのに昔から大工さんは「常傭」と言う。
これは「日当」+αと言う意味が込められているので大工さんに限っては「日当」と言うのを拒否しているように思う。
当時の大工さんは家に帰っても刃物の研ぎもあれば手鋸を自分で目立てをしていた。
技術も高いが、道具も高い。
戦後、日当が上がるにつれて、目立屋に目立を出すようにはなったが
目立て代はいつの時代もサラエ(刃の欠けは直さない目立)が日当の1割強、
中刈(アサリ部分まで刃を落としての目立)は日当に2割強。
改造工事で鋸作業中に釘を引っ掻けて鋸を2丁刃を欠かしたら、日当が半減してしまう。
それだけに大工さんの日当は体一つで働く土木作業員の日当とは別物である。
一般の方は「大工は高い」と言うが、それをムキになって否定することはない。
逆に肯定すべきである。
高い賃金を払っていただけるだけに、日当を頂くものの価値観が理解できているからである。
と言うことで、現在は土木作業員や派遣社員の日当と区別するために
”大工さんの日当=常傭”という解釈になっていることが多い。
少し前までは大昔の日当請求方式で工事していた大工さんがみえました。(これを常傭工事と呼んでいました)
でも、この方式は若いお施主様方には理解が頂けず、ほとんど消滅しました。
「大工さんは高い」「現場にいなくても日当が発生している」
なんて悪いイメージがあったために大工離れになってしまいました。
でも、小さな修繕工事では地元の大工さんほど便利な技術者はいません。
今は、このような仕事を70歳前後の大工さんが行っています。
5年後には、いなくなります。
打ち合わせ込の1時間程度の作業でも日時や時間指定されると1万円くらい頂かいないと採算が合わないはずです。
掛かる前に、
「手が空いたときなら安くできるけど、予定を入れたら○○円くらいの予算を見てください。」
とか、請求書や集金が別の日では大変ですから
「支払いは即金でお願いします。」
と、念押しして、気持ちよく賃金を頂けるようなやり方をしないと
家庭円満にできません。後継者も育ちません。
一人がことを起こしたところで何も変わらないと言われますが
職人さん全体が考えれば難しいことではないと思います。