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万能機より兼用機

今から40年くらい前までは大工さんの木小屋向けによく売れていた万能機。

1台で丸鋸盤・手押・自動の機能が付いているので

3台買うよりも安く場所を取らないとの触れ込みで売れていたが

実際には作業場中央に置かないといけないので場所を取り

2面削る自動を1面目で取りに行くときに大回りしなければいけないので

実際には使いづらく、1台づつ単品に変えることもできないので

決して使い勝手の良い機械ではない。

万能機の丸鋸盤がないものを兼用機と言いますが

兼用機だと自動の2面目の時、大回りしなくてもいいし

自動を壁際に寄せることもできるが

大回りすることになるので、実際には壁際に寄せない。

機械幅が狭いので、作業場を広く使えるメリットがある。

 

個人的には修理する立場なので使い勝手は関係ないが

一番ややこしい自動が中央なので、修理に難がある。

 

と言うことで昨日の依頼。

午後の外回りから店に戻った4時半ごろ電話で

「自動が刃が回るけど、ローラーが途中で止まる。」

自動と言っても万能機の自動部分のことである。

急ぎと言うことなので時間は遅いが近いところなのですぐに伺う。

 

とりあえず自動の送り部分の確認するために蓋を開ける。

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送り部分のベルトが緩いのでモーターを引いてベルトを張るが

やはりローラーが止まる。なので上も

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反対側も開ける。

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するとベルトではなく変速プーリーの奥のギヤが動かない。

ゴミが詰まったような感じ。

ベルトを外すくらいなら狭さは感じないが変速プーリーが全く抜けない。

ヤプーラーで抜こうとするが脚の長さを控えてギリギリ入るスペース。

それをラチエットで回すが回せる角度が45度くらいしかない。

それでも強引に抜いた。

今度はドライバーが入るスペースがない。

反則行為であるが#3の+ネジを短い#2のドライバーで外す。

これでようやくギヤが見えたが、その奥のベアリングが抜けず

ギヤを抜くことを回避し見える部分のギヤの歯の谷にこびり付いた

木の粉末が固まったものを一か所づつ斫取る。

この時、すでに時刻は6時半近く。依頼された大工さんは経営者ではないが

時間外で手伝って頂けるのでありがたい。

抜くのに難儀をしたので問題のある錆やバリを予めやすりで修正してから組み付ける。

幾分にもハンマーを横向きにしてやっと10cmくらいしか触れないスペース。

さらに老眼鏡をかけても暗くて見えないスペース。

途中で何度もやり直しながら7時過ぎに何とか組付け完了。

試運転確認して変速レバーが無かったので

本日ホールダウンのボルトを細工して代用品にする。

 

最後に一言

「兼用機だったら良かったのに!」